超音波療法(治療)の効果と禁忌,骨折が癒着する出力と強度

超音波療法(超音波治療)は漠然と治療時間が長くリハビリ効果の期待値が低いというイメージがあります。

しかし実際の超音波療法(治療)には骨癒合促進をはじめ特筆した効果が複数あります。

今回は超音波療法(治療)の概要と効果、家庭用超音波治療器も含めた禁忌事項、使い方、理学療法の臨床での適応者と使用感に関して記載します。

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超音波療法(治療)とは?

超音波治療とは人間の耳の可聴範囲を超えた20kHz以上の周波数をもつ音波(超音波)を用いた治療法です。

理学療法では主に1Mhz~3Mhzに周波数を調節してリハビリを展開します。

周波数を調節する必要があるのは、1Mhzと3Mhzで超音波の効果が異なるためです。

主に1Mhzでは非温熱効果が、1Mhz~3Mhzでは温熱効果が得られます。

非温熱効果と温熱効果に関して以下に記載します。

超音波療法の非温熱効果は骨折癒合を痛みなく促進

超音波療法の特筆すべき点の1つが非温熱効果による骨癒合の促進です。

大きなメリットとして痛みなく骨癒合が促進できる点です。

超音波療法を用いた骨癒合促進の具体的設定方法は以下の通りです。

あくまでこの設定は非温熱効果が得られるであろうと考えられる設定方法です。

実際の使用にあたっては医師の指示の下リスク管理を徹底し行ってください。

・具体的設定方法

①周波数は主に1MHzを選択

②強度は0.1 W/㎠~0.3W/㎠を選択

③照射時間率は20%以下を選択

④導士は移動させず固定し骨折部位に照射

⑤有効照射面積は固定

⑥治療頻度は1回/日

⑦治療時間は1回/20分

照射時間率とは、照射している時間としていない時間の割合・比率です。

有効照射面積とは、導士の表面で実質的に超音波が発射されている面積のことです。

骨癒合促進の機序は不明確ですが、外界からの物理的刺激が細胞内カルシウムを増大させ治癒促進したことが示唆されています。

超音波は非常に小さな物理的刺激ですが毎日20分間、骨折部位に照射することで細胞内カルシウムが増大し骨癒合が促進されたと推察できます。

近年ではスポーツ選手の骨折後にも超音波治療は積極的に活用されています。

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超音波療法の温熱効果は深部組織の伸張性増大

超音波療法の特筆すべきもう1つの点が温熱効果による深部組織(特に関節包)の伸張性増大です

筋肉の短縮や関節包の癒着等、器質的変化に由来した関節可動域制限が生じると拘縮が形成されます。

拘縮のうち筋性拘縮が約40%、関節性拘縮が約50%を占めます。

静的ストレッチや筋膜リリース、関節の転がり・離開・すべり運動で筋性拘縮と関節性拘縮の何割かの部分は徒手療法で対応可能です。

しかし徒手療法でも対応できない関節性拘縮があります。

それが臨床上よく見受けられる関節包の癒着により生じる関節性拘縮です。

コラーゲン含有量が多い関節包は、関節の不動化のよる水分量減少に伴い粘張性が低下します。

粘張性の低下は隣接するコラーゲン繊維間で架橋形成が発生させます。

架橋形成が進行することで関節包は短縮し、高度に進行すると関節包が癒着します。

この関節包の癒着に対して超音波の温熱効果は真価を発揮します。

超音波はコラーゲンの吸収率が高い特性があります。

そのため脂肪や筋肉の加温効果は低く関節包や腱、靭帯の加温効果が高まります。

その結果、関節包を中心とした組織への伸張性が高まり一時的にコラーゲンの架橋形成が緩和されます。

コラーゲンの架橋形成が緩和されている間に、徒手療法で関節包を伸張することは関節包の癒着に対する有効なアプローチ手段の1つといえます。

具体的設定方法としては以下の通りです。

あくまでこの設定は温熱効果が得られるであろうと考えられる設定方法です。

実際の使用にあたっては医師の指示の下リスク管理を徹底し行ってください。

具体的設定方法

・周波数は1~3MHzを選択

・強度は0.5W/㎠~1.5W/㎠を選択

・照射時間率は50%以上を選択

・導士の移動速度は2-4cm/秒で移動

・導士の移動方法はグルグル回しながら動かす回転法か直線的に動かすストローク法を選択

・有効照射面積1.5倍~2倍に設定

・治療時間は3分~10分に設定

超音波の温熱効果では火傷に注意しつつ実施してください。

家庭用超音波治療器も含めた禁忌

最近では家庭用超音波治療器も価格が下がり、ご自宅で骨折治癒促進や拘縮の進行予防が図れる時代になってきています。

しかし家庭用とはいえ超音波治療器であるためリスク管理の下適切に行う必要があります。

家庭用超音波治療器も含めた禁忌は以下のとおりです。

ただし実際の使用に関しては医師の指示の下、注意・禁忌事項を熟読し理解した上で行ってください。

①急性炎症部位への照射

②重篤な不整脈や心疾患を有する者

③腫瘍を有する者

④ペースメーカーの入っている部位への照射

⑤眼球への照射

⑥成長児の骨端線への照射

⑦脊髄疾患(脊椎椎弓切除術部位への照射、多発性硬化症等)

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超音波治療器の使い方

超音波治療器の基本的な使い方は以下の通りです。

①照射部位をアルコール消毒する

②照射部位にカップリング剤を塗布

③治療目的に応じ・周波数、強度、照射時間率、導士の移動速度、導士の移動方法、有効照射面積、治療時間、治療頻度を選択

超音波治療器から照射される超音波は空気中を伝搬しません。

そのため超音波を皮膚内に取り込む手段として伝搬物質であるカップリング剤の塗布が必要となります。

理学療法介入における超音波療法の適応者と使用感

超音波療法は金属が挿入されている部位にも使用できる数少ない物理療法であるため適応者は多岐にわたります。

私の場合、大腿骨転子下骨折(複雑骨折)により部分荷重の許可が下りない方に対し非温熱効果を施行し骨癒合促進を促しました。

骨折の程度や年齢により異なるため一概には言えませんが、リハビリ治療を続けた結果、その方は入院から3週間半で部分荷重が行えるようになりました。

また関節包の癒着による拘縮に対しても温熱効果を施行し関節可動域制限の改善を図っています。

超音波施行後は徒手で関節包を伸張し相乗効果を図り、関節可動域改善の即時効果を明確化することが大切です。

まとめ

超音波療法の概要と効果、家庭用超音波治療器も含めた禁忌事項、使い方、臨床での適応者と使用感に関して記載しました。

超音波療法には温熱効果と非温熱効果がありどちらも特筆した効果といえます。

骨折の炎症期や関節包の癒着のアプローチで悩んでいる方はぜひとも超音波治療を試してみてください。

超音波療法の理解が深まる一冊

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