深部腱反射の評価と意義とは?亢進・低下を呈する病気も記載

深部腱反射テストは理学療法評価方法の1つでありリハビリの臨床実習などで多くの方が経験していると思います。

そんな深部腱反射ですが評価結果の解釈に関して言葉足らずな内容が多く見受けられます。

詳細は後述しますが具体的には深部腱反射の亢進が錐体路障害という内容は言葉足らずだと思っています。

今回は深部腱反射の評価と意義、深部腱反射テストのやり方と結果の表記方法、亢進と低下を呈する病気(疾患)について記載します。

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深部腱反射の評価とは?

深部腱反射は急な外力によって筋断裂が生じることを予防する生理的な防御反応です。

深部腱反射の評価は上述した生理的防御反応が正常か否か(亢進・低下)を判断する1つの手法です。

筋断裂が生じることを予防する生理的な防御反応に関して以下に詳細を記載します。

深部腱反射を理解するにはまず筋の構成を把握する必要があります。

筋肉は筋と腱が結合し構成されています。

筋には筋長を決定する以下の2つの組織が存在します。

・筋紡錘(錐内筋繊維)という筋緊張を調整する組織

・錐外筋繊維という筋収縮・弛緩を行う組織

この中で筋紡錘の主な機能と役割は「筋断裂の予防」です。

筋肉を過度に伸張すると筋断裂が生じることはイメージしやすいかと思います。

筋断裂を予防するため「錐内筋繊維」が「錐外筋繊維」へ筋を伸張しすぎないよう指示します(実際の指示は筋や腱の間で行われるものではなく脊髄を通して行われます)。

深部腱反射では腱をハンマーで叩くと外刺激により腱は収縮します。

腱が収縮すると左右から引っ張られる形で筋は伸張します。

筋の過度な伸張は筋断裂を生じさせます。

筋断裂を予防するため筋収縮が生じます。

これが深部腱反射の筋断裂が生じることを予防する生理的な防御反応です。

深部腱反射の評価ではこの反応が正常に出現するか否かを判断します。

深部腱反射の意義

深部腱反射の意義は大きく2つあります。

・反射中枢より下位反射弓で生じる障害部位の判定の一助

・皮質核路障害の示唆

反射中枢より下位反射弓で生じる障害部位の判定の一助

頚椎症や椎間板ヘルニアなどでの障害部位判定の一助となります。

深部腱反射の異常が生じているレベル、もしくはレベル以下での脊髄前角(前索・側索含む)障害が示唆されます。

画像診断の方が適格かつ信憑性が高いですが深部腱反射は打腱器のみで行えるため簡易的な検査として有用です。

皮質核路障害の示唆

冒頭で記載した深部腱反射の亢進が錐体路障害という内容は言葉足らずだと思っている理由がこの2つめの意義です。

理由は錐体路の経路と作用にあります。

錐体路には以下の3つの経路が存在し各経路で作用が異なります。

・外側皮質脊髄路→四肢の筋収縮の有無を支配

・前皮質脊髄路→体幹の筋収縮の有無を支配

・皮質核路→錐体外路を抑制

人間の筋収縮は最終的にα繊維が発火(興奮度)に依存します

純粋に外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路のみ障害された場合、α運動ニューロンからα運動繊維に下降する経路が遮断されます。

その結果α運動繊維は発火が困難となります。筋収縮が困難な状態となり弛緩性麻痺を呈します。

つまり錐体路(外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路)の障害では深部腱反射を実施しても筋収縮は生じず腱反射は減弱か消失となります。

深部腱反射の亢進は錐体路障害と言われる理由は錐体路の3つの経路の1つである皮質核路の障害にあります。

皮質核路は内包を通過し錐体外路を抑制する作用があります。

脳卒中で内包が損傷されると皮質核路も障害され錐体外路の抑制が外れます。

具体的にはα運動繊維の発火を抑制するⅡ群繊維が破綻し興奮性の刺激がα運動ニューロンに投影されます。

その結果、深部腱反射のわずかな筋伸張でも錘内筋が「筋断裂が生じる」と認識し強い筋収縮が生じます。

この事象が深部腱反射亢進です。

以上のことから深部腱反射の亢進という評価結果は皮質核路の障害が示唆されているという解釈となります。

筋緊張の詳細はこちらです。 お時間があったら閲覧ください。

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深部腱反射テストのやり方

以下に一般的な深部腱反射テストのやり方を記載します。

①被験者を評価肢位で身体的・精神的にリラックスさせます。

②検者の指で被験者の腱を押さえます。

③打腱器で検者の指を叩きます。

④複数回叩く場合、叩く強度は一定を保ちます。

検査の反応が得られにくい場合は増強法を試します。

具体的には両手の指を引きあうJendrassik(ジェンドラシック)法の実施下で腱反射を行います。

深部腱反射テストの表記方法

深部腱反射の評価結果は以下の6段階で表記します。左右差の有無が重要です。

消失(-):叩打で反応なし。

減弱(±):叩打でわずかな反応。

正常(+):叩打で反応。

軽度亢進(++):叩打で大きく反応。

中等度亢進(+++):筋移行部の叩打で反応。

高度亢進(++++):筋腹の叩打で反応。

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深部腱反射の亢進・低下を呈する病気

深部腱反射が亢進する病気(疾患)

深部腱反射の亢進を呈する主理由は皮質核路の障害です。

皮質核路は一次運動野→内包膝→大脳脚交差を通過し脳幹の神経核に投影されます。

皮質核路の経路を障害する脳出血や脳梗塞では深部腱反射が亢進します。

深部腱反射が低下する病気(疾患)

外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路の機能障害では筋収縮不能により腱反射が低下します。

具体的には小脳出血や小脳梗塞では深部腱反射は低下します。

理由は大脳小脳の損傷により運動入力情報の統合障害が生じるためです。

小脳出血と小脳梗塞の概要やリハビリ治療に関する詳細はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

他の病気(疾患)では椎間板ヘルニアやギランバレー症候群などが深部腱反射低下を呈します。

まとめ

深部腱反射の評価と意義、深部腱反射テストのやり方と結果の表記方法、亢進と低下を呈する病気(疾患)について記載しました。

深部腱反射亢進の評価結果は皮質核路の障害を示唆するという解釈に至って頂ければ幸いです。

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