ストレッチの方法と効果、静的・動的ストレッチの違いとは?

ストレッチは臨床上、高頻度に行うリハビリ治療アプローチの1つです。

高頻度に行うアプローチゆえにストレッチに関して詳細に理解する必要があります。

今回はストレッチの方法と効果、静的・動的ストレッチの違いを記載します。

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静的ストレッチ、動的ストレッチとは?

ストレッチは大きく2つに分類されます。

・静的ストレッチ(スタティックストレッチ)

・動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)

静的ストレッチ とは?

静的ストレッチは身体の反動を利用しないストレッチ方法です。

リハビリにおける持続的な筋伸張ストレッチ方法は多くが静的ストレッチ(スタティックストレッチ)です。

具体例を挙げると他動的に股関節屈曲・膝伸展・足背屈で関節固定しハムストリングスを持続伸張する方法などがスタティックストレッチです

静的ストレッチは定期的に行うことで筋が伸張し柔軟性を担保することが可能です。

留意すべき点はスタティックストレッチで伸張した筋(張力が伸び筋緊張が低下した筋)は伸張直後、筋出力が低下し運動パフォーマンスを低下させます。

関節運動は筋収縮により決定されますが、伸張された筋は筋収縮する際の長さ(筋長)が長くなります。

そのためスタティックストレッチで伸張された筋は筋出力が遅延・低下し運動パフォーマンスを低下させます。

動的ストレッチ とは?

動的ストレッチは身体の反動を利用するストレッチ方法です。

ラジオ体操などが動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)に分類されます。

ダイナミックストレッチはスタティックストレッチと異なり長時間持続的に筋を伸張しないため、ストレッチによる低緊張が生じません。

低緊張が生じずに短時間でリズミカルに筋の収縮・伸張が繰り返されるため、筋出力が発揮しやすくなります。

そのため関節運動前に動的ストレッチを行うことで運動パフォーマンス向上と傷病予防が期待できます。

静的ストレッチの効果

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)の主な効果は以下の3点です。

①関節可動域拡大

②筋緊張低下

③筋性由来の疼痛軽減

静的ストレッチで関節可動域拡大と筋緊張低下が生じる機序

スタティックストレッチは「筋節数を増大させる手法」です。

筋節はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントで構成されています。

筋節数に比例し筋の伸張性は増大します。

筋肉は筋繊維という繊維束が密集され構成されており、筋繊維は筋原繊維という繊維束が密集し構成されています。

筋原線維は筋節がいくつも並んで構成されています。

筋収縮はミオシンフィラメントに対しアクチンフィラメントが滑り込むようにして動くことで生じます。

筋伸張はミオシンフィラメントに対しアクチンフィラメントが離れるようにして動くことで生じます。

筋節1つ1つが同じ働きをするため、筋節が多い方が筋肉はより伸張しやすいことがイメージできるかと思います。

スタティックストレッチは筋節数を増大させるため、筋節数の増大に伴い以下の効果が期待できます。

・筋伸張性増大

・関節可動域増大

・筋緊張低下

逆に筋節が少なければ筋の伸張性が乏しくなり筋短縮につながります。

持続した筋短縮は筋性拘縮を形成します。

筋性拘縮に関する詳細はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

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静的ストレッチで筋性由来の疼痛が軽減する機序

筋肉が過緊張を呈すると筋内圧が上昇し筋虚血状態に陥ることで細胞への酸素供給量が減少します。

筋虚血状態では強力な発痛物質であるブラジキニンが産生・拡散され筋性由来の疼痛が発生します。

静的ストレッチは筋緊張低下作用があるため過緊張筋の緊張緩和が図れます。

緊張緩和により筋虚血状態が是正され筋血流量が増大することでブラジキニンなどの発痛物質が血流で除去され疼痛が軽減します。

動的ストレッチの効果

動的ストレッチの主な効果は以下の3点です。

①関節可動域拡大

②運動パフォーマンス向上

③運動による傷病予防

動的ストレッチは「相反抑制によりターゲットした筋を筋弛緩させる手法」です。

違う言い方だと、身体の反動によるストレッチで筋が伸張されるメカニズムが相反抑制です。

相反抑制を簡易的に説明します。

主動作筋の筋収縮の強度はα運動繊維の興奮度に依存します。

α運動繊維の興奮度の調節は錘内筋のみで考えるとⅠa群繊維とⅡ群繊維が担っています。

このうちⅠa群繊維は筋収縮の程度に応じ主動作筋に興奮性の刺激を送り、拮抗筋には抑制性の刺激を送ります。

Ⅰa群繊維の刺激により生じる拮抗筋の弛緩を相反抑制といいます。この筋弛緩を利用した方法がダイナミックストレッチです。

ダイナミックストレッチは長時間持続的に筋を伸張しないため低緊張が生じず筋出力を発揮しやすくします。

そのため関節運動前に動的ストレッチを行うことで運動パフォーマンス向上と傷病予防が期待できます。

筋緊張と相反抑制に関する詳細はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

スタティックストレッチの方法

リハビリで行うスタティックストレッチはいかに短時間で筋節を増大できるかにつきます。

筋節は筋腱移行部に集中しており、ストレッチで筋腱移行部を集中的に伸張することで筋節数が効果的に増大します。

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筋腱移行部をストレッチで伸張させる方法

対象となる筋が伸張するように他動的に関節を固定します。

関節固定下で対象筋が持続伸張する位置で停止し約20秒~60秒持続伸張します。

スタティックストレッチで最大伸張位にて対象筋肉を等尺性収縮させることで筋腱移行部が集中的に伸張します。

理由は等尺性収縮により腱紡錘がα運動繊維を抑制し筋弛緩を生じさせるためです。

スタティックストレッチで筋を伸張した際、筋紡錘は筋断裂が生じないようにα運動繊維を興奮させ筋収縮を生じさせます

この拮抗している状態では筋の伸張を促すストレッチと筋収縮を促す筋紡錘、どちらも作用し効果的にスタティックストレッチで筋伸張が図れません。

腱紡錘は筋収縮が生じた際、腱断裂が生じないように筋を伸張させる働きがあります。

そのため拮抗している状態下で等尺性収縮を実施すると、腱紡錘が作用しα運動繊維の抑制に伴う筋弛緩が生じストレッチで筋伸張が図れます。

スタティックストレッチは複数回行っても効果的ですが、最初の1回目に1番伸張効果があります。

注意点としては痛みを感じる手前で静止し防御収縮の予防を図ることと、ゆっくりと伸張することで伸張反射を抑制することです。

ダイナミックストレッチの方法

リハビリで行うダイナミックストレッチは左右対称に行うことが原則です。

左右非対称に筋出力が発揮する状態では運動パフォーマンスの向上効果は半減します。

運動パフォーマンスを向上するためには筋張力を担保しつつ筋長は中間位で保持されていることが望ましいです。

またダイナミックストレッチは効果的な頻度、回数は定まっていない現状があります。

ダイナミックストレッチの量、時間を多くすると筋疲労でパフォーマンスが低下する可能性があるため注意が必要です。

まとめ

ストレッチの方法と効果、静的・動的ストレッチの違いを記載しました。

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)では筋紡錘・腱紡錘の作用を理解し、筋節数の増大を図ることが重要です。

動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)では相反抑制を理解し、筋伸張しつつ低緊張と筋疲労を生じさせないことが重要です。

目的に合わせ双方のストレッチを複合して取り入れるとリハビリ治療アプローチの幅が広がるかと思います。

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