足部の運動連鎖が下肢、体幹、頭部まで波及する意味合いとは?

人間の体は1つの関節運動が生じると他関節まで運動が波及するように構造されています。

この運動の波及を運動連鎖といいます。

今回は運動連鎖の波及メカニズムを記載していきます。

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運動連鎖が波及する意味合い

運動連鎖が波及する意味合いは支持基底面内の安定性限界の中央に身体重心の中心点を投影させるためです。

正常な安静立位姿勢は以下の通りです。

・頸椎前弯

・胸椎後弯

・腰椎前弯

・骨盤中間位

・股関節伸展

・膝関節伸展

・足関節背屈

体重圧は骨性支持が主体であり、筋肉は自由度が高く運動に貢献できます。

また骨性支持により抗重力筋の負担を減らすことで長時間の立位運動が可能となります。

このように安定性限界の中央に身体重心の中心点が近づくほど立位姿勢は安定します。

1つの関節運動が、安定性限界の中央から身体重心中央点を遠ざける方向に作用すると、隣接する関節、又は他の関節が安定性限界の中央に身体重心中央点を戻すよう作用します。

このような機序で関節運動は他関節に波及していき運動連鎖が生じます。

しかし運動連鎖は必ずしも頭部から足部まで波及するとは限らないことは留意すべき点です。

例えば健常者の場合、立位で足部背屈角度の増大が生じても、体幹伸展のみで身体重心中央点を戻すように作用することが可能です。

足部の運動連鎖が下肢や体幹、頭部に波及する理由

高齢者の場合、立位で足背屈角度の増大が生じると上行性連鎖が頭部まで波及することはよく見受けられます。

具体的には以下のように運動が波及します。

・膝関節屈曲

・股関節屈曲

・骨盤後傾

・上部体幹屈曲(胸椎過後弯)

・下部頸椎屈曲

・上部頸椎過伸展

・頭頚部前方突出位

理由は、退行性変化による筋短縮や拘縮等で関節の自由度が制限・関節間が連結され、上行性の連鎖が頭部まで波及しないと姿勢制御が行えないためです。

退行性変化に付随する長期臥床では赤筋の筋委縮が白筋よりも優位に進行するため、関節拘縮を生じやすい方向と短縮しやすい筋肉は予め決まっています。

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運動連鎖が波及しやすい方向

運動連鎖の波及観察は以下の3面で行います。

・矢状面

・前額面

・水平面

連鎖の波及をどの関節から観察していくかは人それぞれかと思いますが、矢状面の場合、私は体幹から評価します。

理由としては、赤筋が豊富な多裂筋と脊柱起立筋は筋萎縮が生じやすく、萎縮に伴う体幹屈曲動作が隣接関節へ波及し胸椎過後弯を形成するためです。

多裂筋と脊柱起立筋の萎縮により体幹屈曲が生じると重心前方移動力が発生します。

そのため上位頸椎過伸展と骨盤後傾による重心後方移動力で均衡させ身体重心を中央に移動させます。

骨盤後傾による重心後方移動力を股関節屈曲の重心前方移動力で均衡させます。

股関節屈曲の重心前方移動力を膝関節屈曲で均衡させ身体重心を中央に移動させます。

上述した姿勢保持では以下の筋に過緊張・短縮が生じやすいです。

・ハムストリングス

・腸腰筋

・多裂筋

・脊柱起立筋


従来であれば、前額面と水平面は分割して考えるべきですが、運動連鎖では前額面と水平面を同時並行で考えた方が分かりやすいかと思います。

前額面と水平面の場合、私は股関節から評価します。

理由は内側広筋や中殿筋が萎縮しやすく萎縮に伴う股関節内転・内旋や外転・外旋が隣接関節へ波及するためです。

例えばO脚を例にとると、赤筋繊維が豊富な内側広筋の萎縮と白筋繊維が豊富な外側広筋の過緊張に伴い股関節が外旋し、股関節外旋筋の持続的な過緊張が生じます。

外旋筋である縫工筋と中・小殿筋は股関節外転作用があり過緊張により股関節外転位となります。

股関節外転・外旋による脚長短縮で同側の骨盤下制、前方回旋が生じます。

対側方向への胸腰椎側屈と、下腿の内転・内旋で均衡を図ります。


まとめ

運動連鎖が波及するメカニズムに関して記載しました。

運動連鎖を考える上で、観察肢の関節運動が支持基底面内の安定性限界中央に身体重心投影点の距離を近づけるよう作用しているか否かが観察のポイントです。

観察した関節の隣接関節が不均衡に作用する場合は、健常者のように運動を波及する必要がないか、筋短縮や過緊張により関節の自由度が制限されている可能性が高いです。

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