PNFとは?パターンとリハビリの効果を高めるやり方を解説

理学療法のリハビリでPNFを意識的に展開されている方は少数だと思います。

テクニックの要素が強いイメージがあるPNFパターンやPNF治療ですが、実際にはすごく理にかなっている治療方法です。

その特性上、小脳性運動失調に対するリハビリでは無類の強さを発揮すると個人的には思っています。

今回はPNFの概要と理論、PNFパターンの説明やリハビリで効果的にPNFを施行するやり方を記載します。

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PNFの基礎的な理論

PNFは別名、固有受容性神経筋促通法と呼ばれています。

名前通りですが、筋の固有受容器を刺激して神経筋の反応を促通する方法がPNFです。

PNF治療の基本は以下の手法で構成されます。

①3次元の随意運動にてセラピストが徒手抵抗を加え固有受容器刺激し感覚入力量を増大

②徒手抵抗にて神経筋の反応を最適化させ運動出力を発揮

③反復運動による運動学習

まず、①の感覚入力量増大の手法を説明します。

そのためには最初に3次元の運動であるPNFパターンについて理解する必要があります。

PNFパターンで感覚入力量を増大する方法

PNFパターンは対角線上に動く屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋が組み合わさった3次元の随意運動をさします。

人間は日常生活を送る上で対角線上に動く関節運動を多用しています。

人間は二足歩行であるため身体の回旋にて目的動作を遂行する必要性が高いことが一理由です。

屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋による三次元の運動は、解剖学的構造とも一致しており固有受容器をより刺激できます。

固有受容器には深部感覚や筋紡錘・腱紡錘からの筋張力情報も含まれます。

ここからは具体例を交えPNFパターンで感覚入力量を増大する方法を説明します。

具体例)

小脳出血で大腿四頭筋の筋収縮力が減弱。歩行のLRで膝折れが生じる。

固有受容器である筋張力に関する感覚情報は大腿四頭筋から入力されます。

入力された情報は脊髄小脳路を通じ上行しますが、小脳出血で小脳が損傷されると入力情報も遮断されます。

その結果、筋紡錘・腱紡錘からの筋張力の感覚入力が減弱します。

PNFでは対角線上に動く屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋が組み合わさった三次元の随意運動で固有受容器を促通します

具体的には三次元の随意運動により、大腿四頭筋は遠心性収縮、求心性収縮、等尺性収縮で異なる筋張力を発揮します。

筋張力の発揮は大腿四頭筋からの感覚入力量を増大させます。

増大された感覚入力情報は脊髄小脳路を通じて上行し小脳を賦活化させます。

その作用により小脳性運動失調の感覚入力障害の是正を図ることができます。

次に上述②の徒手抵抗にて神経筋の反応を最適化させ運動出力を発揮させる手法に関して説明します 。

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PNFパターンで運動出力を最適化する方法

PNFの対角線上に動く屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋が組み合わさった三次元の随意運動はセラピストの徒手抵抗下で行います。

理由として、PNFの運動出力最適化の理論は以下の2つの原理を基盤としているためです。

①特異性の原理→白筋繊維と赤筋繊維は各々で適した負荷を選択する必要があるという原理

②過負荷の原理→筋出力や筋肥大を行うには筋肉に過度な負荷を与える必要があるという原理

上述した具体例で改善すべき問題点は大腿四頭筋の筋収縮力減弱です。

それも歩行のLRという瞬間的な時間で大腿四頭筋の筋収縮を発揮する必要があります。

瞬発的な筋収縮発揮には白筋繊維を選択的に鍛える必要があります(特異性の原理)。

また白筋繊維を鍛える方法としては高負荷低頻度やスロートレーニングを選択する必要があります(過負荷の原理)。

具体例では以下のような手法で運動出力を最適化させます。

①療法士の抵抗に逆らいながら大腿四頭筋を求心性収縮させ膝関節完全伸展直前まで膝伸展させる。

(下肢屈曲・外転・外旋から下肢伸展・内転・内旋への随意抵抗運動)

②膝関節完全伸展直前(大腿四頭筋の筋収縮を途切れさせない)から療法士の抵抗を大腿四頭筋の遠心性収縮に切り替える。

③療法士の抵抗に逆らいながら大腿四頭筋を遠心性収縮させ膝関節屈曲する。

(下肢伸展・内転・内旋から下肢屈曲・外転・外旋への随意抵抗運動)

上記の①~③をゆっくりとした速さで3~10往復行い促通したい運動パターンで終了します。

具体例の場合は下肢伸展・内転・内旋への随意抵抗運動で終了します。

理由としては歩行のICからLRへの移行では膝関節は屈曲5度から15度に変化するためです。

そのため特に膝関節膝屈曲5度から膝屈曲15度前後までの角度で大腿四頭筋の遠心性収縮が発揮できることを意識し運動を促通する必要があります。

このように特異性の原理と、過負荷の原理を基盤としたPNFを展開します。

その結果、歩行のIC~LRへの切り替えにて大腿四頭筋が瞬発的にも筋収縮を発揮できるよう治療します。

白筋、赤筋繊維の相違点と双方の筋トレ方法の詳細はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

最後に上述した③の反復運動により運動学習を促通する手法を説明します。

PNFパターンの反復による運動学習

PNFは特異性の原理と、過負荷の原理の他に可逆性の原理も基盤としています。

可逆性の原理とは、リハビリ治療にて成果が得られてもリハビリ治療を止めると成果が失われていくという原理です。

リハビリの即時効果があるが翌日への持ち越し効果が得られない事象が可逆性の原理です。

そのためPNFでは感覚入力増強させつつ運動出力をコントロールした運動を反復させることで運動学習を促通します。

運動学習により単一の成果から持続的な成果に昇華させることでリハビリ治療の効果を確固たるものとします。

リハビリ治療におけるPNFの効果的なやり方

PNFには多くのテクニックが存在しますが、理学療法のリハビリでは3つのテクニックを理解し活用すれば十二分に通用します。

冒頭から説明し具体例に施行したPNFテクニックは3つのテクニックの内の1つでスロー・リバーサルと呼ばれます。

残り2つのテクニックもスロー・リバーサルの理論に沿って考えれば理解できるかと思います。

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PNFの基本はスロー・リバーサル

上述した通り、冒頭から説明し具体例に施行したPNFテクニックがスロー・リバーサルです。

具体例に施行した大腿四頭筋に対するスロー・リバーサルは以下の通りです。

①療法士の抵抗に逆らいながら大腿四頭筋を求心性収縮させ膝関節完全伸展直前まで膝伸展させる。

(下肢屈曲・外転・外旋から下肢伸展・内転・内旋への随意抵抗運動)

②膝関節完全伸展直前(大腿四頭筋の筋収縮を途切れさせない)から療法士の抵抗を大腿四頭筋の遠心性収縮に切り替える。

③療法士の抵抗に逆らいながら大腿四頭筋を遠心性収縮させ膝関節屈曲する。

(下肢伸展・内転・内旋から下肢屈曲・外転・外旋への随意抵抗運動)

スロー・リバーサルは、求心性収縮と遠心性収縮を休みなく、ゆっくりとした速さで反復することで神経筋の反応を最適化させ運動出力を発揮させるテクニックです。

以下に残り2つのPNFテクニックを記載します。

スローリバーサル・ホールド

上述のスロー・リバーサルは筋の遠心性収縮・求心性収縮の切り替え運動です。

スロー・リバーサル実施時に関節運動を静止することで等尺性収縮を入れ込むことが可能です。

この動作を2~3秒間静止し関節角度をホールドするテクニックをスローリバーサル・ホールドといいます。

具体例では、歩行のICからLRへ移行する膝関節屈曲5度から15度間において大腿四頭筋の筋出力発揮が求められます。

例えば膝関節膝屈曲5度でホールドし大腿四頭筋の等尺性収縮を促通します。

その結果、神経筋の反応を最適化させ運動出力を発揮させるテクニックがスローリバーサル・ホールドです。

リズミック・スタビリゼーション

上述したスローリバーサル・ホールドの筋収縮様態は等尺性収縮です

等尺性収縮実施中にセラピストが遠心性・求心性方向へ交互に抵抗を加えるテクニックがリズミック・スタビリテーションです。

持続的な筋収縮を発揮による固定性強化を図る効果があります。

脊柱の剛性を高める多裂筋の筋トレなど、体幹・骨盤の固定性増大にも応用可能なテクニックです。

具体例の場合、膝関節をホールドした状態から膝関節屈曲・伸展交互にセラピストが抵抗を加えます。

抵抗を加えている間、対象者は関節のホールドを維持し等尺性収縮を保ちます。

理学療法のトレーニングにおけるPNFの欠点

PNFは感覚入力を増大させつつ求心性・遠心性・等尺性収縮を最適化させ運動出力を発揮させる画期的な治療方法です。

唯一の欠点として、PNFの治療効果は理学療法士の経験に大きく依存することが挙げられます。

例えばスロー・リバーサルでは筋収縮を途切れさせないように求心性・遠心性収縮を切り替える必要があります。

筋収縮を途切れさせないためには、理学療法士の手の位置、把持する力加減などが重要です。

しかしこれらの項目は主観的であるため理学療法士の経験値が大いに影響します。

PNF治療を1日でも早く臨床で活かすためには以下のようなDVD付の書籍にて動画を閲覧しつつ学ぶ方法が時間帯効果で最適だと思います。

まとめ

PNFの概要と理論、PNFパターンの説明やリハビリで効果的にPNFを施行するやり方を記載しました。

感覚入力の増大、運動出力のコントロール、反復運動による運動学習が効率的に行える手法がPNF治療です。

特に運動失調のリハビリで確かな手ごたえを感じたい場合、必須な治療アプローチといえます。

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