錐体外路症状がパーキンソン病で生じる機序を経路から考察

錐体外路症状が出現する代表的な疾患がパーキンソン病です。

今回は、錐体外路症状がパーキンソン病で生じる機序を錐体外路の経路から考察しました。

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錐体外路の経路と作用

錐体外路は以下の3点の調節する神経経路です

・筋緊張

・筋収縮(錐体路)の補助

・平衡感覚

錐体外路には以下の6つの神経経路が存在し、各経路で調節する作用が異なります。

筋緊張の調節

①橋網様体脊髄路→頸部・体幹の筋緊張を調節

②延髄網様体脊髄路→四肢の筋緊張を調節

筋収縮(錐体路)の補助調節

①赤核脊髄路→屈筋に作用する錐体路を補助し関節屈曲を促進

②視蓋脊髄路→頭頸部の関節運動と眼球運動に作用する錐体路を補助し関節運動を促進

平衡感覚の調節

①内側前庭脊髄路→前庭脊髄反射を遂行可能となるよう主に半規管から入力。

前庭脊髄反射出現時、上肢の伸筋の緊張を調節。

②外側前庭脊髄路→前庭脊髄反射を遂行可能となるよう主に耳石器からの入力。

前庭脊髄反射出現時、下肢の伸筋の緊張を調節。

錐体外路経路の走行ルートと覚え方はこちらです。合わせて閲覧いただくと分かりやすいかと思います。

錐体外路症状がパーキンソン病で生じる根本的な機序

パーキンソン病の錐体外路症状(4大徴候)は以下の通りです。

・安静時振戦

・筋固縮

・姿勢反射障害

・無動(寡動)

錐体外路症状が生じる根本的な問題点は大脳基底核のループ回路障害にあります。

大脳基底核は大脳皮質-大脳基底核-視床-大脳基底核のループ回路を形成し運動調節しています。

パーキンソン病では中脳黒質の変性によりドパミンが欠乏します。

その結果、ループ回路における大脳基底核から視床への出力が過多となり錐体外路症状が出現します。

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パーキンソン病で出現する錐体外路症状(安静時振戦以外)の機序を経路から考察

筋固縮が出現する機序

筋固縮は筋緊張異常(亢進)の1つです。

筋固縮の種類

関節運動開始から終了まで一様に抵抗のある固縮を鉛管現象といいます。

関節運動開始から終了まで抵抗が断続的にみられるものを歯車現象といいます。

筋固縮は頸部と四肢の筋肉に生じやすいです。

四肢に筋固縮が生じる機序を経路から考察

錐体外路の1つである延髄網様体脊髄路は四肢の筋緊張を調節します。

延髄網様体脊髄路が障害されると錘内筋繊維からα運動ニューロンへ投影するⅡ群繊維が破綻します。

結果、筋断裂が生じない筋伸張でもα運動繊維が発火し筋緊張が亢進します。

錐体外路の1つである赤核脊髄路は屈筋に作用する錐体路を補助し関節屈曲を促進します。

赤核脊髄路が障害されると屈筋群の収縮活動が高まります。

筋緊張亢進下で更に屈筋群の筋収縮活動が高まっている状態では関節運動による筋伸張に抵抗が生じます。

肘関節の伸展で考えると

延髄網様体脊髄路の障害割合が大きければ一様に抵抗のある鉛管現象が生じる可能性があります。

延髄網様体脊髄路に加え赤核脊髄路が障害されれば屈曲による抵抗を断続的に認める歯車現象が生じる可能性があります。

頸部に筋固縮が生じる機序を経路から考察

錐体外路の1つである橋網様体脊髄路は頸部・体幹の筋緊張を調節します。

上述した機序と同様に、橋網様体脊髄路が障害されると錘内筋繊維からα運動ニューロンへ投影するⅡ群繊維が破綻します。

結果、筋断裂が生じない筋伸張でもα運動繊維が発火し筋緊張が亢進します。

錐体外路の1つである視蓋脊髄路は頭頸部の関節運動に作用する錐体路を補助し関節運動を促進します。

視蓋脊髄路が障害されると頸部周囲筋の収縮活動が高まります。

筋緊張亢進下で更に頸部周囲筋の筋収縮活動が高まっている状態では頸部の運動による筋伸張に抵抗が生じます。

頸部屈曲で考えると

橋網様体脊髄路の障害割合が大きければ一様に抵抗のある鉛管現象が生じる可能性があります。

橋網様体脊髄路に加え視蓋脊髄路が障害されれば運動方向に対する抵抗を断続的に認める歯車現象が生じる可能性があります。

姿勢反射障害が生じる機序を経路から考察

延髄網様体脊髄路の障害で四肢の筋緊張が亢進します。

橋網様体脊髄路の障害で頸部・体幹の筋緊張が亢進します。

その状態下で赤核脊髄路が障害されると屈筋が優位に促通され下記の円背姿勢が生じます。

・膝関節屈曲

・股関節屈曲

・骨盤後傾

・胸椎過後弯

・頭頚部前方突出

円背姿勢を矯正するリハビリの詳細はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

長期化すると筋短縮や過緊張、筋性・関節性・骨性の拘縮を出現させ関節運動を制限します。

具体的には以下の筋緊張異常と筋力低下が生じ関節運動が制限されます。

・股関節持続屈曲による腸腰筋短縮

・関節運動低下により赤筋繊維保有量が多い中殿筋の筋委縮

・中殿筋の筋力低下に対する股関節内転筋の過緊張の代償

・ハムストリングスの短縮

その結果、股関節屈曲の振り出しを主体としたすり足歩行となります。

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無動が生じる機序を経路から考察

無動より軽度の場合を寡動といいます。

寡動と無動の根本的な要因は大脳基底核から視床への出力過多による運動抑制です。

他の要因として円背姿勢の体幹屈曲角度増大と股関節屈曲角度増大により股関節屈曲動作で下肢を振り出せないことを推察しました。

パーキンソン病では上述した機序で頸部・体幹・四肢の筋緊張が亢進し屈筋が優位に促通されます。

股関節屈曲動作は腸腰筋の求心性収縮による作用が主です。

赤核脊髄路の障害により腸腰筋は優位に促通されますが、円背姿勢で体幹屈曲角度が増大した状態から股関節屈曲の振り出しを行うにはかなりの腸腰筋の求心性収縮力を要します。

加えて赤核脊髄路の障害により体幹屈曲も優位に促通されるため時間経過と共に体幹屈曲角度が増大すると、腸腰筋の求心性収縮は力負けし下肢の振り出しが阻害されます。

結果として寡動や無動の症状であるすくみ足が出現します。

すくみ足が重症化すると歩行にて小刻み歩行と突進現象が出現します。

健常者が小刻み歩行や突進現象を真似て前方に重心が移動しすぎた場合、瞬発的に下肢伸筋の筋緊張を亢進させ下肢支持性を担保し転倒予防します。

もちろん他の立ち直り反応やSTEP反応の複合的に関与し転倒予防します。

健常者は頭部に加速度を感知すると反射的に伸筋を中心に筋緊張が亢進することで体平衡を保ち姿勢制御する前庭脊髄反射があります。

錐体外路の経路である内側前庭脊髄路と外側前庭脊髄路が障害されると頭部に加わる加速度の感知が障害されます。

その結果、前庭脊髄反射が遅延・消失します。

加えて赤核脊髄路は伸筋を抑制するよう作用するため、瞬発的に下肢伸筋の筋緊張を亢進させ下肢支持性を担保できません。

その結果、体幹前傾姿勢の増大に伴う重心前方移動の矯正が困難となり、小刻み歩行と突進現象が出現すると推察します。

まとめ

錐体外路症状がパーキンソン病で生じる機序を経路から考察しました。

論理的に記事内容が荒い部分もあるかもしれませんが、温かい目で見て頂けたら幸いです。

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