筋筋膜性腰痛症のリハビリ治療と症状,原因を詳しく解説

筋筋膜性腰痛症はリハビリ治療頻度が高い症状です。

個人的には慢性的な腰痛が生じている場合、優先的に筋筋膜性腰痛症を疑います。

今回は筋筋膜性腰痛症の概要、症状と原因、リハビリ治療を記載します。

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筋筋膜性腰痛症とは?

腰痛の原因は大きく3つに大別されます。

・骨性原因→腰椎圧迫骨折など

・関節性原因→腰椎椎間板ヘルニアなど

・筋性原因→筋筋膜性腰痛症など

筋筋膜性腰痛症は筋性原因(筋・筋膜の損傷や過度な筋収縮、過緊張など)で生じる急性腰痛と慢性腰痛の総称です

筋筋膜性腰痛症は筋と筋膜が要因であるためMRI等の骨画像診断や神経所見には異常を認めません(非特異的腰痛)。

以下に筋筋膜性腰痛症における急性腰痛と慢性腰痛の症状と原因を述べます。

筋筋膜性腰痛症における急性腰痛の症状と原因

筋筋膜性腰痛の急性腰痛の主原因は筋繊維の損傷・断裂により生じます。

筋繊維の損傷・断裂により強烈な疼痛が発生します。

筋繊維の損傷・断裂の発生の多くは急激かつ過度な筋伸張や筋短縮で生じます。

遠心性・等尺性・求心性収縮いずれにおいても筋負荷が大きいと筋繊維が損傷します。

高負荷低頻度の筋トレのような微細な筋繊維の損傷であれば筋肉痛程度で収まりますが筋繊維の損傷や断裂の程度が重度だと激痛が生じます。

日常生活では過剰に腰を捻った際や中腰で重い荷物を持つ際に生じやすいです。

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筋筋膜性腰痛症における慢性腰痛の症状と原因

筋筋膜性腰痛症における慢性腰痛の原因は以下の3つに大別されます。

・腰椎付着筋の筋委縮に付随する腰椎過前弯による腰痛→主に大腰筋、多裂筋

・骨盤周囲筋の過緊張による腰痛→大殿筋など

・トリガーポイントによる腰痛→脊柱起立筋など

大腰筋と多裂筋の筋委縮が腰椎過前弯を形成し疼痛を発生させるメカニズム

経験上、筋筋膜性腰痛症で慢性腰痛を呈する多くの方は大なり小なり腰椎の過前弯が生じています。

特に下位腰椎の過前弯が生じ疼痛が付随して出現するケースが多いです。

原因としては大腰筋と多裂筋の筋委縮が挙げられます。

大腰筋は浅頭が第12胸椎から第4腰椎の椎体側面および椎間円板側面、深頭が全腰椎の肋骨突起を起始とし、大腿骨の小転子に停止します。

大腰筋は体幹、骨盤、大腿骨を走行しています。

筋委縮による筋短縮が生じると起始部と停止部の距離が短縮するモーメントが発生します。

その結果、第12胸椎から第4腰椎の椎体に前弯方向へのモーメントが発生し腰椎過前弯が形成されます。

また、多裂筋は腰椎の横突起を起始とし棘突起に停止するため、筋委縮や過緊張を呈すると腰椎前弯方向へのモーメントを発生させます。

上述した機序で大腰筋と多裂筋の筋委縮が生じると下位腰椎を中心に腰椎前弯方向へのストレスが加わり付着する筋が更に短縮・疼痛が慢性化します。

大殿筋の過緊張により疼痛が生じるメカニズム

筋肉が過緊張を呈すると筋内圧が上昇し筋虚血状態に陥ります。

筋虚血状態では慢性的な酸素不足となり細胞への酸素供給量が低下します。

その結果、強力な発痛物質であるブラジキニンが産生・拡散され疼痛が生じます。

筋筋膜性腰痛症で過緊張を呈しやすい代表的な筋肉が大殿筋です。

理由としては上述の下位腰椎過前弯の姿勢矯正・運動連鎖にあります。

腰椎過前弯は前方方向へのモーメントを発生させます。

姿勢を制御するには後方方向へのモーメントを要します。

下位腰椎の隣接関節は骨盤です。

骨盤は後傾することで後方へのモーメントが発生します。

フォースカップルで考えると理解しやすいですが、骨盤を後傾させる主動作筋は大殿筋と腹直筋です。

慢性的な腰椎過前弯に対し筋収縮のみでは骨盤後傾を維持することは困難です。

そのため大殿筋を過緊張させモーメントの調整を図る戦略が選択されます。

持続的な過緊張により大殿筋に筋虚血が生じ、疼痛が発生します。

トリガーポイントにより疼痛が発生するメカニズム

トリガーポイントは筋硬結とも呼ばれています。

トリガーポイントは初期段階ではトリガーポイントを指圧しても指圧部位が痛む程度です。

しかし進行するとトリガーポイントの指圧により関連痛(指圧部位以外に生じる痛み)の出現や自発痛を呈します。

トリガーポイントの機序は明確化されていませんが慢性的な筋虚血状態に加えて筋収縮や筋短縮による負荷が加わると出現しやすいことが示唆されています。

そのため特に筋腱移行部にトリガーポイントが出現します。

中でも抗重力筋の筋腱移行部は重力という慢性的な負荷にさらされている状態のためトリガーポイントが高頻度で出現します。

また後方筋膜にもトリガーポイントは出現しやすく経験上、アキレス腱・腓腹筋・脊柱起立筋・ハムストリングスはトリガーポイントの有無を評価すべき部位です。

筋筋膜性腰椎症のリハビリ治療

筋筋膜性腰痛症のリハビリ治療を時系列で記載します。

・過緊張筋の緊張緩和

・トリガーポイントの緩和

・後方筋膜の筋膜リリース

・筋委縮を呈する筋の筋トレ

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過緊張筋(大殿筋など)の緊張緩和

経験上、筋筋膜性腰痛症は大腰筋と多裂筋の筋委縮が高頻度で関与しています。

しかし筋委縮を是正する筋トレは過緊張などの筋緊張異常を取り除いてから実施する必要があります。

理由は関節可動域の狭小化と腰痛による筋緊張異常の慢性化を予防するためです。

最初に過緊張を認める筋の緊張緩和をストレッチとマッサージでほぐし筋虚血を是正します。

静的ストレッチを主軸とし最低20秒以上かけ緊張を緩和していきます。

トリガーポイントの緩和

過緊張筋の緊張緩和が図れたら、トリガーポイントをほぐしていきます。

方法としてはマッサージの手技である圧迫法を用います。

トリガーポイントを発見したら母指圧迫法にて圧迫しつつ上下左右にマッサージを施行します。

約3分間行うことでトリガーポイントによる腰痛を緩和していきます。

ストレッチとマッサージの詳細な治療方法はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

後方筋膜の筋膜リリース

過緊張とトリガーポイントの腰痛が緩和したら後方筋膜全体をリリースします。

筋膜リリースには以下のような方法が挙げられます。

・長座位にて足関節を背屈し頭頚部屈曲で足尖に手を伸ばす

・立位で膝関節伸展位のまま前屈する

大腰筋と多裂筋の筋トレ

最後に大腰筋と多裂筋の筋トレを実施し筋委縮の是正を図ることで腰椎過前弯を矯正します。

まとめ

筋筋膜性腰痛症の概要、症状と原因、リハビリ治療を記載しました。

上述した例はあくまで一例であり、他の筋肉や関節にアプローチする必要はもちろん考えられます。

しかし腰痛の原因が大腰筋と多裂筋の筋委縮である方は経験上非常に多いです。

記載した内容が皆さんの臨床の一助となれば幸いです。

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