変形性膝関節症で痛みが生じる原因と変形予防のリハビリ治療

変形性膝関節症のリハビリは炎症の消失を第一優先としてアプローチしないと変形を助長させ、かえって悪化させます。

変形性疾患が進行性疾患といわれるのも炎症が消失できていないことが要因です。

今回は変形性膝関節症で痛みや変形が生じる原因と変形の進行を予防するリハビリ治療に関して記載します。

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変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症とは、退行性変化に伴って膝関節周囲組織が変性し、関節軟骨の摩耗により膝関節の変形をきたす病態です。

変形性膝関節症は2通りに大別されます。

・原因不明の一次性

・明らかな基礎疾患や構造異常(骨折・半月板損傷等)を有する二次性

本における変形性膝関節症は二次性が大半を占めます。

膝の変形方向によりO脚とX脚に分類され、日本では変形性膝関節症のうちO脚が90%以上を占めます。

O脚とX脚は大腿脛骨角で判定されます。具体的数値は以下の通りです。

・正常値は170度~176度

・O脚はFTA180度以上

・X脚はFTA165度以下

変形性膝関節症の変形が進行する原因

正常な状態では大腿脛骨関節間で圧分散が図れ、関節軟骨の肥厚が保たれています。また関節軟骨に栄養を与える滑液が滞りなく循環しています。

変形性膝関節症の進行は、膝関節周囲筋の筋委縮・過緊張により大腿脛骨関節の圧分散が十分に図れないことが主な機序です。

具体的には、大腿骨内側部と脛骨内側部に圧が限局的に集中し関節軟骨の摩耗、関節腔の狭小化が生じ変形が進行します。

人によってはこの時期から疼痛が出現します。

関節軟骨の摩耗が進行すると、生理的対処として大腿骨・脛骨間の接地面を増大させる骨棘が形成されます。

また摩耗により関節軟骨と関節腔がほぼ消失し骨がむき出しになります。

そうすると関節液が骨に浸潤し骨嚢胞が生じます。動作時だけでなく安静時にも痛みが出現します。

変形性膝関節症で痛みが生じる原因

痛みが生じる原因は大きく分けて2機序あります。

・関節内の炎症が原因で生じる痛み

・関節外の筋緊張異常が原因で生じる痛み

関節内の炎症が原因で生じる痛み

関節軟骨の摩耗により軟骨の破片が関節内を浮遊し滑膜を刺激することで滑膜に炎症が生じます。

滑膜には痛みを感知する神経が豊富に含まれているため、炎症が生じると痛みが発生します。

関節軟骨摩耗で生じた軟骨片を除去する(押し流す)ため、滑液が過剰分泌されます。

リンパ管での吸収量以上に滑液が分泌すると膝関節内に滑液が貯留します。

この現象が関節水腫です。

関節水腫の水を根本的に抜く方法がこちらです。お時間があったら閲覧ください。

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関節外の筋緊張異常が原因で生じる痛み

大腿直筋・外側広筋に加え股関節外旋させる筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋を主体に、中・小殿筋、半膜様筋、外旋六筋)が過緊張することで痛みが生じます。

関節軟骨の摩耗を生じさせる不良姿勢の形成は上記の筋の過緊張と拮抗筋の筋委縮・筋出力低下による影響が大きいです。

過緊張が生じる機序は一概にはいえませんが、1つの機序として外側広筋(大腿直筋)の過緊張が生じ股関節外旋位に保持された結果、股関節外旋筋が短縮し過緊張することがあげられます 。

外側広筋(大腿直筋)が過緊張する機序について説明します。

大腿脛骨関節は構造上、骨性支持のみでは関節の脱臼を予防できません。

そのため、大腿四頭筋を中心とする筋肉と前・後十字靭帯、内外側側副靭帯を中心とする靭帯で脱臼予防しています。

退行性変化で靭帯の補強力が低下すると筋肉を過緊張させて脱臼を予防する戦略をとります。

大腿四頭筋で考えると、白筋繊維が豊富な大腿直筋と外側広筋は過緊張が生じやすい反面、赤筋繊維が豊富な内側広筋は筋委縮が生じやすいです。

内側広筋の萎縮と外側広筋の過緊張は股関節外旋に作用します。

股関節外旋位の姿勢が持続すると股関節外旋筋が短縮し過緊張が生じます。

股関節外旋筋である縫工筋と中・小殿筋は股関節外転作用があり過緊張で股関節外転位が誘発されます。

股関節外旋筋である鷲足は膝関節屈曲作用があり過緊張で膝屈曲位が誘発されます。

股関節の外旋・外転位の保持により大腿骨内側部と脛骨内側部に圧が集中します。

大腿骨と脛骨の関節軟骨の摩耗により上述した関節内に起因する要因の痛みが出現します。

変形性膝関節症で生じる立位姿勢

前額面上での姿勢です。上述した機序で股関節外転外旋方向のモーメントが発生すると、運動連鎖で下腿には内旋方向のモーメントが発生します。

その結果、膝関節は内反します。

矢状面上での姿勢です。

鷲足は縫工筋・薄筋・半腱様筋で構成されており、股関節外旋筋の縫工筋・薄筋に過緊張が生じると必然的に半腱様筋も過緊張を強いられます。

鷲足は膝屈曲作用があり過緊張が生じることで膝関節屈曲モーメントが発生します。

運動連鎖で股関節屈曲、足関節背屈が生じます。

股関節屈曲位では、運動連鎖にて骨盤後傾、胸椎過後弯、頭部前方突出位が誘発されます。

しかし長期間の股関節屈曲で腸腰筋に短縮が生じると骨盤前傾し、体幹伸展を腰椎の過前弯で代償します。

運動連鎖の概要と詳細な説明はこちらです。 お時間があったら閲覧ください。

変形性膝関節症のリハビリ治療

変形性膝関節症のリハビリは以下のように原因別に行う必要があります。

・関節包内の炎症に対するアプローチ

・関節包外における筋肉の過緊張・萎縮、膝蓋骨の可動域制限に対するアプローチ

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関節包内の炎症に対するリハビリ治療

リハビリアプローチで最優先すべきポイントは滑膜の炎症を緩和させ消失させることです。

上述したように変形性膝関節症では、関節軟骨の摩耗により軟骨片が関節内を浮遊し滑膜を刺激することで、滑膜に炎症が生じ疼痛が発生します。

つまり関節軟骨の摩耗を緩和させない限り滑膜の炎症は改善しません。

炎症の緩和は安静が第一選択ですが、膝関節は日常生活上多用するため絶対安静は現実的ではありません。

そのため炎症を緩和するアプローチは環境調整を含め複合的に実施し膝関節の免荷を図ります。

・歩行補助具の導入

・膝サポーターの導入

・装具療法

・食事療法

歩行補助具の選定は、免荷量の大きい歩行器歩行が望ましいですが、家屋状況で使用が困難な方には両手杖等の使用で免荷を図ります。

膝内反位の変形性膝関節症の場合、膝外反作用のある膝サポーターを導入します。

装具療法にて免荷量の増大を図ります。屋内用の靴に抵抗が少ない方であれば以下の内容を付与し屋内靴を導入します。

・足底板にクッション性の高いインソールを導入

・外側フレアヒール(足部内反を是正する作用)を導入

免荷により運動負荷は低負荷となります。あとは高頻度とならないように注意しましょう。

環境調整と運動量を調整し、炎症症状を緩和させていきます。

理想的には同時並行で食事療法による体重コントロールを図る必要がありますが、「食べること」は楽しみの1つです。

減量を無理強いするとリハビリ意欲が減退する可能性は高いため、無理のない範囲で糖質制限を行っていく方法が望ましいです。

糖質制限ダイエットの具体的方法がこちらです。お時間があったら閲覧ください。

関節包外の筋・関節に対するリハビリ治療

炎症が緩和・消失したら関節包外の筋にアプローチします。具体的には以下の4点が主軸となります。

・関節外の過緊張した筋肉の緊張緩和

・膝蓋骨の可動域を増大し疼痛軽減

・関節包の癒着予防

・筋出力低下・筋委縮している筋肉の筋力増強練習

関節外の過緊張した筋肉の緊張緩和方法

触診で過緊張を呈している筋肉を判別しつつ以下のプログラムを複合し緊張緩和を図ります。

・ストレッチ

・マッサージ(圧迫法が主体)

・物理療法(温熱・寒冷・電気療法等)

例えば、大腿直筋と外側広筋の場合、膝蓋腱を介し脛骨粗面に停止するためⅠb抑制の理論に基づき、膝蓋腱に5~10秒持続圧迫することで緊張緩和を図ることが可能です。

その後、大腿直筋・外側広筋の筋腹に沿って強擦法・揉捻法のマッサージとストレッチを施行し筋腹も含めた緊張緩和を図ります。

Ⅰb抑制テクニックも含めたマッサージの詳細はこちらです

膝蓋骨の可動域増大させ疼痛を軽減する方法

大腿直筋と外側広筋の過緊張は膝蓋骨を上外側へ偏移させます。

上述した方法で両筋の緊張緩和が図れたら徒手で膝蓋骨を下内側へ持続牽引し膝蓋骨の可動域を確保します。

関節包の癒着を予防する方法

同時に関節拘縮の主要因の1つである関節包の癒着を予防します。

癒着している場合や短縮が強い場合は超音波療法を用い、関節包の伸張性を高めてから徒手伸張した方が効果的です。

内反膝(O脚)は膝屈曲位の姿勢で生じるため、関節包は後方が短縮します。

膝関節を伸展方向へ伸長しつつ手掌で膝蓋骨を大腿骨に押し込むように持続圧迫し関節包後方の伸張を図ります。

筋出力低下・筋委縮している筋肉の筋力増強練習方法

関節内・関節外の疼痛が軽減・消失したら筋出力低下・筋委縮している筋肉の筋力増強練習を実施します。

具体的には膝外反作用がある以下の筋の筋力増強練習を実施します。

・内側広筋

・股関節内転筋群

・大殿筋

・大腿筋膜張筋

練習開始初期は、膝関節の炎症が再燃しない方法を選択します。

・運動負荷量が調整可能なOKCの運動

・自転車エルゴメーター

特に自転車エルゴメーターは有酸素運動を行いつつ内側広筋の筋力増強が図れるため効果的です。

炎症・疼痛の再発・増悪を予防しつつ徐々にCKCの運動量を増やし筋力増強を図ります。

自転車エルゴメーターの目的・効果・使用方法の詳細はこちらです。

炎症の痛みが消失すれば、必然的に日常生活での運動量は増大するため、リハビリ介入内の運動負荷量の調整は慎重に行う必要があります。

まとめ

変形性膝関節症において変形が進行する原因と痛みが生じる原因、変形を進行させないリハビリ治療を中心に記載しました。

変形性膝関節症のリハビリでは、関節軟骨の摩耗による滑膜の炎症を抑えることが最優先事項です。

炎症が生じている状態では筋出力も発揮できず、疼痛による運動量低下は過緊張・筋委縮を助長させてしまう事象を念頭におきリハビリを実施していきましょう。

変形性膝関節症の理解が深まる一冊がこちらです。

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