体幹インナーマッスルのリハビリトレーニングを計15種紹介

リハビリ対象者の多くが体幹インナーマッスルの低下を認めるため、体幹トレーニングをリハビリで展開する頻度は多いと思います。

今回は体幹インナーマッスルの概要と役割、単一筋の機能、リハビリトレーニング方法(ストレッチ・筋トレ方法)に関して記載します。

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体幹のインナーマッスルとは?

インナーマッスルは以下の筋の総称です。

・横隔膜

・腹横筋

・多裂筋

・骨盤底筋群

・腰方形筋

・大腰筋

・内腹斜筋

インナーマッスルのうち、以下の筋の総称をインナーユニットといいます。

・横隔膜

・腹横筋

・多裂筋

・骨盤底筋群

狭義では体幹のインナーマッスルはインナーユニットを示すことが多いです。

体幹のインナーマッスル(インナーユニット)の役割

インナーユニットは運動直前に筋収縮することで腹腔内圧を上昇させ、脊柱の剛性を担保し脊柱を安定化させる役割があります。

インナーユニットである横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群は筋膜で連結され連動して働く特性があります。

その特性により筋収縮で腹腔内圧を上昇させることが可能です。

身体運動はインナーユニットが機能し脊柱の安定性(体幹の固定性)が高まれば課題難易度が下がります。

結果としてアウターマッスルの負担も軽減しアウターマッスルの過緊張などが生じ難くなります。

インナーユニットが過緊張や筋力低下により機能しない場合、予備動作が破綻(腹腔内圧が高まらず脊柱が不安定)します。

予備動作が破綻した状態下での運動は課題難易度が上昇しアウターマッスルの負担が増大します。

結果として代償動作の出現やアウターマッスルに過緊張が出現するなどの悪循環が生じます。

そのためインナーユニットの柔軟性を確保し筋力増強を図る必要があります。

体幹のインナーマッスル単一筋の作用

インナーユニットを形成する横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群の単一筋の作用について述べます。

横隔膜

横隔膜は呼吸における主力吸気筋です。

安静呼吸では吸気に横隔膜と外肋間筋が作用し、呼気には筋肉は作用しません。

吸気の仕組みとしては横隔膜が収縮するとドーム状の凸部分が下方向に下降することで胸腔の拡大と胸腔内圧の低下が生じ空気が肺内に流入します。

横隔膜の詳細はこちらです 。お時間があったら閲覧ください。

腹横筋

腹横筋は呼吸における努力呼気筋です。

安静呼気には作用しませんが横隔膜とは拮抗筋の作用があります。

上述したように安静呼気では腹横筋は作用しませんが、くしゃみや意識下での腹式呼吸において腹横筋が主呼気筋として作用します。

腹横筋は腹部周囲をコルセットのように覆っています。

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多裂筋

多裂筋の最大特徴は頸椎から骨盤まで走行し起始が横突起、停止が棘突起であることです。

椎骨に起始・停止があるため筋収縮により椎骨同士を引き付けて脊柱を安定化させる役割があります。

多裂筋は腰部の筋繊維が太い特徴があり筋委縮や過緊張で腰椎過前弯が生じると腰痛を引き起こします。

赤筋繊維含有量が多いため筋委縮しやすい特徴があります。

骨盤底筋群

骨盤底筋群は以下の筋の総称です。

①恥骨直腸筋

②恥骨尾骨筋

③腸骨尾骨筋

④深会陰横筋

⑤浅会陰横筋

⑥外肛門括約筋

⑦外尿道括約筋

⑧球海綿体筋

⑨坐骨海面体筋

①~⑨の筋肉が骨盤底でハンモック状に走行しています。

骨盤底筋群は膀胱・尿道・直腸・子宮等の臓器を下から支え腹腔内圧を上昇させる作用があります。

また骨盤底筋群は尿漏れを予防する作用があります。

腹圧性尿漏れは骨盤底筋群の筋力低下や緊張低下が一要因で生じます。

骨盤底筋群の詳細はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

体幹のインナーマッスルに対するリハビリトレーニング

脊柱の不安定化がインナーユニットの破綻で生じている場合、以下のリハビリトレーニングを実施します。

・インナーユニットをストレッチし張力を担保

・インナーユニットを筋力増強し筋出力、筋力向上を図る

インナーマッスルのストレッチ方法

横隔膜のストレッチ

椅子座位にて浅く座り両手で後側方の座面を掴み骨盤中間位で胸を張ります。

横隔膜周囲筋を伸張させ間接的に横隔膜を伸張させます。

腹横筋のストレッチ

椅子座位にて骨盤中間位。両手を組み頭上へ持ち上げます。

その状態で体幹側屈(体を真横に倒し)伸張します。

体幹の回旋や骨盤の拳上の代償が入らないよう注意してください。

多裂筋のストレッチ

①椅子座位にて両股関節を外転し足を広げます。後頭部で両手を組みます。

その状態で体幹深屈曲します。 股間に顔をうずめるイメージで行うと伸張しやすいかと思います。

②四つ這いになり腹部を見るように頸部を屈曲し背中を丸めます。

③他の方法としてバックオーバーがあります。

バックオーバーは多裂筋の伸張効果が高いですが、課題難易度が高いことが欠点です。

骨盤底筋群のストレッチ

四つ這いから頭頚部・上部体幹を回旋し頭部・肩・上腕・前腕を接地させます。

上部体幹の回旋角度が大きい程ストレッチ強度が増大します。

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インナーマッスルの筋力増強方法

横隔膜の筋力増強練習

背臥位で腹部直上に重錘を乗せ負荷を加えた腹式呼吸で筋力増強を図ります。

背臥位で腹部の上に重りをのせます。この際、負荷量に注意して実施してください。最初は重りなしからスタートです。

鼻から息を大きく吸います。重りが持ち上がるようにお腹が膨らんでいることが重要です 。

口から息を吐きます。息苦しさが生じないように実施します。

腹横筋の筋力増強練習

①ドローイン

背臥位でリラックスし、呼吸の呼気の時に、腹部に力を入れ凹ませます。

段階的に負荷量を増大するには、収縮時間を延長し吸気時も腹横筋を収縮させます。

ドローインの強みは意識すればあらゆる動作において行えることです。

動作時にドローインが行えるようになれば腹横筋の自主筋力増強練習として活用できます。

しかし無意識化の運動に昇華できないデメリットがあるため万能とはいえません。

②座位でのツイスト

椅子座位になり(背もたれは使用しないで下さい)背筋を伸ばし目線を前に向けます。

両腕を合わせて前で手を組み、両腕だけ左右に捻ります(目線は前を向いたまま、体を捻らないようにします)。

③立位バランス能力が高い方は立位でのツイストを実施することで運動負荷量が増大します。

多裂筋の筋力増強練習

①バックブリッジ

臨床でよく使うバックブリッジは多裂筋・骨盤底筋群の筋力増強練習にもなります。

さらに上述したドローインも行えば腹横筋の筋力増強練習にもなります。

バックブリッジは効率的かつ効果的な運動です。

②ダイアゴナル

四つ這いになり一側の上下肢を拳上し体勢を保持します。

難しいようであれば一側の上肢と対側下肢を拳上し保持します。

更に課題難易度を下げる場合は、一側の上肢もしくは下肢のみ挙上し保持します。

骨盤底筋群の筋力増強練習

健常者でも骨盤底筋群の筋収縮は意識し難いと思います。

そのため骨盤底筋群を鍛える前に筋収縮の程度を体感し筋収縮が得られているか否か認識する必要があります。

具体的には排尿時に意識して一時的に排尿を停止します。

排尿停止時に力が入っている部位が骨盤底筋群の筋収縮が得られている部位です。

①排尿停止時に力が入った部位を意識してバックブリッジを実施します。

肩~膝まで一直線となるよう臀部を挙上します。

負荷を強める場合は片脚でのバックブリッジを実施します。

②椅子座位で背筋を伸ばし骨盤中間位にします。排尿停止時に力が入った部位を意識して5秒持続的に力を入れ保持します。

③体育座りで胸の前で腕組みします。左右交互に臀部を前方移動させるお尻歩きを実施します。

体幹インナーマッスルに対するリハビリトレーニングの限界

インナーユニットを鍛えることが体幹強化により姿勢改善に繋がると言った情報が散見されます。

私見ではインナーユニットの筋力増強を図っても姿勢改善には直結しないかと思います。

姿勢改善にはインナーユニットの強化よりも姿勢に作用するアウターマッスルの筋力・筋出力向上を図る方が効果的です。

例えば筋緊張異常で骨盤後傾が生じ円背を呈している場合、インナーユニットを鍛えても骨盤の前後傾に関与する筋肉の協調性を図らなければ姿勢改善は困難です。

具体的には、骨盤を後傾させる筋肉(腹直筋・ハムストリングス・大殿筋)の過緊張の緊張緩和を図ります。

同時に骨盤を前傾させる筋肉(大腰筋・大腿直筋・脊柱起立筋)の筋力増強練習を行い円背姿勢の改善を図る必要があります。

あくまでインナーユニットは脊柱の安定化が主の役割であることは覚えておくべき点です。

円背の概要と姿勢改善を図るリハビリ詳細はこちらです。

まとめ

体幹インナーマッスルの概要と役割、個々の機能、リハビリトレーニング方法(ストレッチ・筋トレ方法)に関して記載しました。

インナーユニットは身体運動の予備動作に関与します。

腹腔内圧を上昇し脊柱の安定化を図ることで運動の課題難易度を下げる役割は大切です。

一方で姿勢や動作を根本的に改善するには、インナーユニットではなく各関節の主動作筋と拮抗筋にアプローチする必要があります。

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