短下肢装具着用の目的と適応可能な機能、困難な機能のまとめ

腓骨神経麻痺に伴う下垂足や脳卒中片麻痺による内反尖足の保障を中心に短下肢装具を用いた装具療法は幅広く展開されます。

メリット・デメリットという訳ではありませんが、裸足と比較し短下肢装具には適応可能な機能と適応困難な機能が存在します。

今回は短下肢装具の機能についてまとめました。

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短下肢装具の目的

短下肢装具(装具療法)着用の主目的は足部の自由度を減らすことで課題難易度を下げ立位関連動作を中心に介助量軽減を図ることです。

短下肢装具の副目的には足部保護目的が挙げられます。

脳卒中片麻痺(痙性麻痺)による内反尖足や腓骨神経麻痺に伴う下垂足に対し装具療法は効果的なアプローチ方法です。

腓骨神経麻痺に伴う下垂足のリハビリはこちらです。 お時間があったら閲覧ください。

短下肢装具で適応可能な機能

臨床上優先的に覚えておくべきポイントは以下の2点です。

麻痺側遊脚期を通じたトゥクリアランスの確保

脳卒中片麻痺(痙性麻痺)に伴い筋緊張が亢進しやすい筋肉の1つに下腿三頭筋があります。

下腿三頭筋の筋緊張が亢進すると足関節底屈・内反位となり、裸足歩行では遊脚期のトゥクリアランスが低下します。

また、腓骨神経麻痺では下垂足を呈し裸足歩行にて遊脚期のトゥクリアランスが低下します。

短下肢装具を着用し、足関節背屈固定(通常は5度)・遊動に設定することで麻痺側遊脚期を通じたトゥクリアランスを確保できます。

トゥクリアランスを確保した結果果として、歩行介助量軽減・転倒予防が図れます。

麻痺側IC時における踵接地と麻痺側LR~Tstにおける全足底接地が可能

痙性麻痺で下腿三頭筋の筋緊張亢進を認め内反尖足を呈すると麻痺側IC時に足尖接地となります。

その際、床反力ベクトルは膝関節前面を通過します。

床反力ベクトルが膝関節前面を通過する歩様では、麻痺側LR~Mstで膝関節過伸展(バックニー)となり重心が後方移動します。

身体中心に重心投影点を戻すため運動連鎖で体幹屈曲が生じます。

この歩様ではLRで大腿四頭筋の遠心性収縮が生じず内側広筋を中心に筋委縮が進行する要因となります。

短下肢装具を足関節背屈固定(通常は5度)・遊動に設定することで麻痺側IC時における踵接地の担保が可能となり床反力ベクトルは下腿後面を通過します。

床反力ベクトルは下腿後面を通過する歩様では、麻痺側LR~Mstでバック二―が抑制され、LRで大腿四頭筋の遠心性収縮を促すことが可能となります。

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短下肢装具で適応困難な機能

臨床上優先的に覚えておくべきポイントは以下の2点です。

ヒールロッカー機能は保障困難(ゲートソリューション装具は除く)

ヒールロッカー機能は、ICの踵接地後に生じる前脛骨筋が制御する足関節底屈動作です。

IC時の踵接地直後、足関節が5度底屈し全足底接地することで衝撃吸収を図る目的があります。

前脛骨筋が遠心性収縮しヒールロッカーを機能させつつ下腿が前傾します。

下腿の前傾と共に大腿四頭筋は遠心性収縮し、下腿に大腿を引きよせることで前方への重心移動に寄与します。

短下肢装具を着用する多くの場合、角度設定は背屈5度固定、背屈5度~背屈遊動に設定します。

底屈をフリーにしてしまうと下腿三頭筋の筋緊張亢進に対応できなくなるためです。

そのため構造上、足関節底屈のみの分離運動は困難です。ヒールロッカー機能は破綻し、LR~Mstにおいて正常歩行よりも膝関節の深屈曲が生じます。

腓腹筋の蹴りだし機能は保障困難。分回し歩行が生じやすい

通常歩行では、下腿三頭筋のうち、ヒラメ筋はMst~Tstにかけて遠心性収縮しつつ足関節背屈を制御することで、下腿の安定性を確保します。

そしてTst時における腓腹筋の蹴りだしは、前方方向への推進力を生じさせ下肢を円滑に前方に振り出す一助となります。

装具着用下では、上述したように足関節底屈のみの分離運動が困難となるため、腓腹筋の蹴りだしの機能が破綻します。

腓腹筋による蹴りだしの機能が破綻した場合、Mst後期、もしくはTstで腸腰筋の求心性収縮による、股関節屈曲運動が行えれば、麻痺側下肢を前方に振り出すことが可能です。

しかし下肢伸展パターン出現下では大殿筋の筋緊張亢進を認め、拮抗筋の腸腰筋にはⅠa群繊維は抑制性の刺激を送っているため、腸腰筋は筋出力が発揮しにくい状況下にあります。

その為、LR~Mstで麻痺側骨盤後方回旋している状態から体幹を前傾することで上半身の重心を前方移動させます。

下半身の重心移動するために腰方形筋の筋収縮、過緊張で腰椎側屈・骨盤拳上させトゥクリアランスを確保します。

股関節内転筋・内旋筋を筋収縮、過緊張させ下肢を前方に振りだし前方移動させる分回し歩行が出現します。

分回し歩行の機序と改善するリハビリの詳細はこちらです 。お時間があったら閲覧ください。

まとめ

短下肢装具の目的と適応可能な機能と適応困難な機能を中心に記載しました。

特に装具で適応困難な機能は見落とされがちです。短下肢装具着用下での歩様を改善する上では理解しておくべきポイントだと思います。

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