脳卒中片麻痺の足関節を外反させる腓骨筋のトレーニング方法

※脳卒中の症状は多岐にわたり、個別性が重要な疾患である為、あくまで数あるアプローチの内の1つという見解で読んで頂けると幸いです。

脳卒中は軽症であればリハビリで裸足歩行自立が目指せる疾患です。

裸足歩行自立の阻害要因として麻痺側IC時における足関節(足部)内反によりヒールロッカー機能が破綻することが挙げられます。

その場合、ヒールロッカー機能を担保するには足部外反作用がある腓骨筋の筋収縮を促通し足部内反を予防する必要があります。

今回は、脳卒中片麻痺で足部内反が生じる理由と足部内反に対する腓骨筋へのリハビリアプローチ(ストレッチ・筋力トレーニング方法)について記載します。

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脳卒中片麻痺者の麻痺側足部が内反する理由

脳卒中片麻痺の麻痺側足部が内反する理由は大きく分けて以下の2点です。

・下腿三頭筋の筋緊張亢進

・前脛骨筋の筋収縮促通

下腿三頭筋の筋緊張亢進で足部内反となる機序

下腿三頭筋は筋収縮により足関節底屈に伴う内反作用があります。

そのため、下腿三頭筋の筋緊張が中等度~重度亢進している方は足部内反位を余儀なくされます。

下腿三頭筋の詳細な筋作用はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

脳卒中(痙性麻痺)で下腿三頭筋の筋緊張亢進が生じるメカニズムを述べます。

痙性麻痺の実態は、内包損傷により錐体外路が障害された結果、α運動ニューロン・α繊維を抑制するⅡ群繊維の機能が破綻することです。

Ⅱ群繊維の抑制が外れたことにより、自重で下腿三頭筋にわずかな筋伸張(筋断裂が生じない筋伸張)が生じても、「筋断裂が生じる!」と錐内筋繊維が誤認します。

その結果、筋断裂を予防するためにⅠa群繊維が興奮し、α運動繊維の発火により下腿三頭筋には更なる強い筋収縮が生じます。

持続した筋収縮に伴い下腿三頭筋の筋緊張は亢進します。

前脛骨筋の筋収縮促通で足部内反位を呈する機序

下腿三頭筋の筋緊張亢進が軽度であり裸足歩行を目指す場合、前脛骨筋の筋収縮を促通しPsw~ICのトゥクリアランス確保とIC~LRのヒールロッカー機能の担保が必要となります。

 

しかし前脛骨筋にも足関節背屈に伴う内反作用があるため、前脛骨筋の筋収縮を促通すると足部内反位を呈します。

裸足歩行において、腓骨筋の筋出力・筋収縮が不十分だと麻痺側IC時に足関節内反接地となりヒールロッカー機能は破綻します。

このように脳卒中片麻痺の方で裸足歩行を目指すのであれば、足部外反作用をもつ腓骨筋はアプローチすべき重要な筋肉です。

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足部を外反させる腓骨筋の概要

腓骨筋は下腿外側に位置する細長い筋肉で赤筋繊維が多い特徴があります。

腓骨筋は以下の3筋で構成されています。

①長腓骨筋

②短腓骨筋

③第3腓骨筋

第3腓骨筋はそもそも欠損されて存在しない方もいます。

腓骨筋を構成する3つの筋肉は全て足部外反の作用がありますが、外反に1番強く作用する筋肉は短腓骨筋であり、第3腓骨筋は外反の補助的な役割があります。

この他にも長腓骨筋と短腓骨筋は足部の外側縦アーチを構築する主動筋でもあります。

腓骨筋の起始・停止・作用

・長腓骨筋

起始:腓骨頭、腓骨の外側面の近位2/3、筋間中膜

停止:内側楔状骨、第1中側骨底

作用:足関節外反・底屈

・短腓骨筋

起始:腓骨の外側面の遠位1/2

停止:第5中足骨粗面

作用:足関節外反・足関節底屈

・第3腓骨筋

起始:腓骨の下部前面

停止:第5中足骨底の背面

作用:足関節外反(補助)・背屈

足部内反へ積極的にアプローチする上での留意点

足部内反へ積極的にアプローチを行う上での留意点は対象者の抽出です。

腓骨筋は筋体積が小さく筋繊維長も短いです。

加えて赤筋繊維割合が多いため筋力増強練習を実施しても筋力増強や筋出力発揮の短期的な改善が得られにくい特徴があります。

そのため腓骨筋に積極的にアプローチする対象者は脳卒中片麻痺者かつ裸足歩行自立を目標とする方に絞りこむことが望ましいです。

他の方であれば装具療法(短下肢装具)で足関節の機能を保障、自由度を減らしつつ他関節や他の筋肉にアプローチする方がリハビリの時間対効果が高い可能性があります。

短下肢装具の目的や適応可能な機能、困難な機能のまとめはこちらです。お時間があったら閲覧ください。

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腓骨筋のストレッチ・筋力トレーニング方法

腓骨筋に過緊張を認める場合はストレッチで伸張し張力を担保した後、筋力増強練習と動作練習にて腓骨筋の筋力・筋出力の向上を図ります。

腓骨筋のストレッチ方法

椅子座位にて麻痺側足部を内反し、非麻痺側の手掌で下腿後面を下方向へ押し持続伸張します 。

腓骨筋の筋力増強練習

足関節外反の自動運動を実施します。随意的な足部外反は健常者でも行う機会が少ない動作です。

セラピストが足部外反動作を行い対象者にイメージして頂きつつ模倣する方法が良いかと思います。 

腓骨筋の随意的筋収縮が困難な方は、低周波による電気刺激で筋収縮を促通し随意収縮が可能となった段階で筋力増強練習を実施する方法を選択します。

筋力増強練習の具体的方法としては、立位の両足接地下で親指に体重が加わるよう意識してカフレイズを実施します。

下腿三頭筋の筋緊張が亢進しないよう、壁に手を添える等、課題難易度を調整してください。

動作練習

麻痺側足部のPsw~IC(LR)までのステップ練習を反復して行い歩行時に足部内反を是正するよう腓骨筋が筋出力を発揮するタイミングの運動学習を促します。

設定として前方か側方に鏡を設置し足部内反の是正を視覚でフィードバックします。

課題難易度が低い平行棒から開始し、徐々に課題難易度をあげる方法が望ましいです。

まとめ

脳卒中片麻痺で足部内反が生じる理由と足部内反に対する腓骨筋へのリハビリアプローチ(ストレッチ・筋力トレーニング方法)について記載しました。

腓骨筋は赤筋繊維割合が多いためリハビリの短期的な効果は得られにくいですが、装具で足部を保障しない軽症な片麻痺者に対しては重点的にアプローチするべき筋肉だと思います。

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