大腿骨頸部骨折とは?原因と手術療法、リハビリ内容について

大腿骨頸部骨折は転倒が主原因で受傷します。

転倒率は加齢に伴い上昇するため必然的に高齢者には大腿骨頸部骨折のリスクが常についてまわります。

今回は大腿骨頸部骨折の原因と手術療法、リハビリ内容を記載します。

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大腿骨頸部骨折とは?

大腿骨頸部は以下の図のピンク色の部分です。

関節包・頸部を境に以下の2つに分類されます。

・包内骨折

・包外骨折

骨癒合困難な場合は、血液循環不良による大腿骨頭壊死に直結するため人工骨頭置換術が選択されます。

大腿骨頸部骨折は女性の発生割合が多く、男性の2.5倍~3倍近い発症率です。

女性の方が男性よりも骨密度が低下しやすいことが一要因と考えられています。

年齢的には70歳以降、右肩上がりに受傷率が上昇し85歳でピークを迎えます。

大腿骨頸部は構造上、剪断力を受けやすい部位です。

転倒した際に大腿骨転子部を強打し外力が大腿骨頸部に直達することが大腿骨頸部骨折を呈する主原因です。

背景として、骨粗鬆症により骨密度が低下していると大腿骨頸部骨折は生じやすく、また重症化しやすくなります。

大腿骨頸部骨折の判定と分類・手術療法

大腿骨頸部骨折の判定

骨粗鬆症が著明に進行していても頸部骨折は判断しやすいため大抵はエックス線単純写真によって行われます。

大腿骨頸部骨折の重症度を判定するGarden分類

以下の4つのステージに分類されます。

StageⅠ→

不完全骨折。

骨転移なし。

骨性の連続性は保たれている。

StageⅡ→

完全骨折。

骨転移あり。

軟部組織の連続性は保たれている。

StageⅢ→

完全骨折。

骨転移あり。

Weitbrecht支帯(強靭な靭帯)の連続性は保たれている。

StageⅣ→

完全骨折。

骨転移あり。

すべての軟部組織の連続性が断たれている。整復困難。

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大腿骨頸部骨折の手術療法

手術しなくても十分骨癒合が見込める場合は、保存療法が選択されます。

しかし、大腿骨頸部骨折は大腿骨頭壊死のリスクが高いため大抵の場合は人工骨頭置換術が選択されます。

人工骨頭は3つの部位で構成されています。

・ステム(大腿骨部分)

・骨頭

・カップ(寛骨臼にあわせる部分)

手術ではまず最初に大腿頭骨部を切り落とします。

次に寛骨臼(受け口)の表面を滑らかにし、カップを骨盤にはめ込んでネジやセメントを使用して固定します。

術式には前方進入と後方進入の方法があり、術式によって脱臼肢位(禁忌肢位)が異なります。

前方進入の手術の場合、股関節屈曲+内転+内旋の複合運動が禁忌肢位となります(人工骨頭が後方へ脱臼します)。

後方進入の手術の場合、股関節伸展+外転+外旋の複合運動が禁忌肢位となります(人工骨頭が前方へ脱臼します)。

人工頭骨置換術後5%前後の方に脱臼が生じ、術後3ヶ月以内の脱臼頻度が高いです。

大腿骨頸部骨折のリハビリテーション

人工骨頭置換術の場合、術後経過による個人差はあるものの概ね1週間以内には免荷での立位動作練習が行えます。

以下に時系列でリハビリ内容を記載していきます。

人工骨頭置換術日(術直後)

深部静脈血栓症予防にOKCでの運動(足関節背屈運動等)を痛みがでない範囲で行います。

股関節屈曲運動も90度未満であれば許可されることが多いです。

むしろ問題となるのが、股関節内外転運動に伴う疼痛です。

人工骨頭置換術は術式に関わらず中殿筋と大腿筋膜張筋を切開します。

術後の疼痛により股関節内外転運動が制限され、中殿筋に筋委縮が進行し、股関節内転筋群に過緊張と筋短縮が生じる悪循環に陥りやすいです。

そのため、痛みと痛みによる過緊張を是正することを第一優先としつつ、痛みが著明に軽減・消失したら萎縮した中殿筋の筋力増強を図る必要があります。

また忘れがちですが、切開部の皮膚癒着や術後の浮腫も関節可動域制限をひきおこす要因です。

癒着予防で皮膚伸張と浮腫へのアプローチを実施します。

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座位保持練習可能

術後翌日から座位保持練習が可能となる場合が多いです。股関節過屈曲に留意し積極的に導入しましょう。

手術側の下肢筋委縮を以下の運動で予防します。

・下肢の開閉運動

・SLR

・パテラセッティング

・端座位での膝伸展運動

下肢の開閉は中殿筋に疼痛が生じない範囲で実施してください。

同時並行で手術対側の下肢筋力増強を以下の練習で図ります。

・平行棒内で手術対側下肢のみ使用したスクワット

・歩行練習(両上肢で平行棒を把持しつつ手術対側下肢のみでケンケン)

手術側の部分荷重練習開始までの期間に手術対側の下肢筋力低下及び二次障害の廃用症候群を生じさせないことが重要です。

部分荷重練習可能

術側下肢の荷重練習が開始となれば積極的に荷重練習を導入します。

早期にフルウェイトの許可がでても術後は恐怖感が大きいです。

そのため部分荷重から開始し、荷重に伴う疼痛が発生しない安心感を得て頂きつつ、徐々に荷重量を増やしていく方法が望ましいです。

具体的には、各両足下に体重計を設置し何kgまで荷重可能か患者に視覚でフィードバックしていくことで恐怖感を減少しつつ、徐々に荷重量を増大させフルウェイトを目指します。

手術側の下肢荷重量増大に伴い歩行動作など動作練習が導入可能となります。

動作練習は代償動作が出現しないように留意する必要があります。

例えば、中殿筋の筋出力・筋力低下が生じると立位で骨盤平行保持が困難となります。

そのため股関節内転筋群の過緊張により骨盤平行保持を代償させます。

上述したように人工骨頭置換術では、中殿筋の手術侵襲が生じるため、中殿筋筋力低下・筋出力低下は良く見受けられます。

同時に重心移動練習を実施し、安定性限界、予測的安定性限界を拡大することで再転倒予防を図ります。

まとめ

大腿骨頸部骨折の原因・手術療法・リハビリ内容に関して記載しました。

骨折後の廃用症候群を是正しつつ以下の6つがポイントとなります。

・術後の疼痛軽減

・浮腫軽減

・皮膚の癒着、関節拘縮予防

・中殿筋を主体とした筋力増強

・骨折下肢の荷重量増大

・再転倒予防の為の安定性限界と予測的安定性限界の拡大

また危険認知が低い方であれば人工頭骨置換術後の脱臼に対し、より一層注意が必要です。

高い目標ですが、受傷前と同じADL動作までリハビリで改善することを目標にアプローチしていきましょう。

大腿骨頸部骨折の理解が深まる一冊がこちらです。

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