大腿骨転子下骨折のリハビリと手術方法,定義や分類のまとめ

大腿骨転子下骨折は大腿骨骨折の中で1番発生率は低いものの、骨折を呈する時は複雑骨折や粉砕骨折等、重症な場合が多く、受傷後の骨癒合が遷延しやすい特徴があります。

今回は大腿骨転子下骨折の定義と手術療法による整復内容、リハビリアプローチに関して記載します。

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大腿骨転子下骨折の定義と分類

大腿骨転子下は以下の図の⑦の部分です。大腿骨小転子部~大腿骨小転子部5cm下までを大腿骨転子下といいます。

大腿骨転子下に生じる骨折が大腿骨転子下骨折です。

関節包・頸部を境に包内骨折と包外骨折に分けられ、大腿骨転子下骨折は包外骨折に分類されます。

大腿骨転子下骨折は大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折と異なり通常の転倒では生じにくく、転倒より強い外力(交通事故等)が大腿骨転子下に直達し生じます。

大腿骨転子下には大殿筋、股関節内転筋群等、筋収縮力が強い筋が付着しています。

複雑骨折や粉砕骨折に加えて、それらの筋の筋収縮により大きな骨転移が生じやすい特徴があります。

大腿骨転子下骨折の手術整復

大腿骨転子下骨折の判定はエックス線単純写真によって行われます。

手術では髄内釘固定法やγ-nail等の骨接合術が選択されます。

骨接合術の固定力を高めるため挿入するプレートはlongplateが用いられます。

固定力は増大する反面、手術侵襲も大きいことが特徴です。

転子下骨折では、骨折の重傷度(術後の固定が良好に行えているか経過観察する期間)により部分荷重開始時期にかなり個人差があります。

術後2週間以内に部分荷重練習の許可がでる場合が多いですが、個人差が大きいため、荷重練習は主治医の指示に従って慎重に行ってください。

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大腿骨転子下骨折のリハビリ

以下に時系列でリハビリ内容を記載していきます。

術日(術後)

手術した足の自動運動の許可がでない場合はメドマーを装着し深部静脈血栓症を予防します。

手術した足の自動運動の許可がでた場合は、痛みのない範囲でOKCでの運動(足関節背屈運動等)を主体に行い、深部静脈血栓症を予防します。

大腿骨転子下骨折術後で問題となるのが、膝関節伸展に伴う強い疼痛です。

大腿骨転子下骨折の手術は侵襲が大きく、大腿筋膜張筋と腸脛靭帯に加え外側広筋を切開します。

外側広筋の切開による術後の疼痛で膝関節伸展が行えず、膝関節屈曲拘縮や内側広筋の筋力低下を引き起こす悪循環となることが多いです。

そのため、痛みと痛みによる過緊張を是正することが第一優先としつつ、痛みが著明に軽減・消失したら萎縮した内側広筋の筋力増強を図る必要があります。

また忘れがちですが、切開部の皮膚癒着や術後の浮腫も関節可動域制限の要因です。癒着させないよう術後の皮膚伸張と浮腫のアプローチも行いましょう。

端座位練習、術側下肢の自動(介助)運動が可能

座位保持練習が行えるようになったら呼吸・循環機能を低下させない上でも下肢下垂位での端座位保持練習を積極的に導入します。

手術側の下肢筋委縮を以下の練習で予防します。

・SLR

・パテラセッティング

・端座位での膝伸展運動

同時並行で以下の練習で手術対側の下肢筋力増強を図ります。

・平行棒内で手術対側下肢のみ使用したスクワット

・歩行練習(両上肢で平行棒を把持しつつ手術対側下肢のみでケンケン)

大腿骨転子下骨折に対するリハビリは、手術側の部分荷重練習開始までの期間に手術対側の下肢筋力低下及び二次障害の廃用症候群を生じさせないことが重要です。

部分荷重が可能

術側下肢の荷重練習が開始となれば積極的に荷重練習を導入します。早期にフルウェイトの許可がでても術後は恐怖感が大きいです。

そのため部分荷重から開始し、荷重に伴う疼痛が発生しない安心感を得て頂きつつ、徐々に荷重量を増やしていく方法が望ましいです。

具体的には、各両足下に体重計を設置し何kgまで荷重可能か患者に視覚でフィードバックしていくことで恐怖感を減少しつつ、徐々に荷重量を増大させフルウェイトを目指します。

手術側の下肢荷重量増大に伴い歩行動作など動作練習が導入可能となります。

動作練習は代償動作が出現しないように留意する必要があります。

例えば、中殿筋の筋出力・筋力低下が生じると立位で骨盤平行保持が困難となります。

そのため股関節内転筋群の過緊張により骨盤平行保持を代償させます。

人工骨頭置換術と異なり、中殿筋の手術侵襲はありませんが、術後の臥床に伴い赤筋線維が豊富な中殿筋の筋委縮・筋力低下はよく見受けられます。

同時に重心移動練習を実施し、安定性限界、予測的安定性限界を拡大することで再転倒予防を図ります。

まとめ

大腿骨転子下骨折の原因・手術療法・リハビリ内容に関して記載しました。

骨折後の廃用症候群を是正しつつ以下の6つがリハビリのポイントとなります。

・術後の疼痛軽減

・浮腫の軽減

・皮膚の癒着と関節拘縮予防

・内側広筋、中殿筋を主体としたの筋力増強

・荷重量を調節しフルウェイトを目指す

・再転倒予防の為の安定性限界と予測的安定性限界の拡大

高い目標ですが、受傷前と同じADL動作までリハビリで改善することを目標にアプローチしていきましょう。

大腿骨骨折の理解が深まる一冊

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