デュアルタスク(二重課題)トレーニングのリハビリ効果

デュアルタスク(二重課題)は注意と深く関与しています。

そのため先に注意の基礎的概要や神経機構を学ぶことで以下の内容の理解が深まるかと思います。

先行研究の論文にてデュアルタスク(二重課題)はワーキングメモリや転倒に関与していると考えられています。

そのためデュアルタスク(二重課題)の処理能力向上は認知症予防や高齢者の転倒率の軽減に寄与する意味合いがあります。

デュアルタスク(二重課題)はリハビリでトレーニングすることにより処理能力を向上させることが可能です・

今回はデュアルタスク(二重課題)の概要とトレーニング方法、リハビリ効果、メニューを中心に記載します。

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デュアルタスク(二重課題)の意味とは?

人間は日常生活を送るにあたり無意識に2つ以上の課題を同時並行で遂行しています。

歩きながら考え事をする等が典型例です。

この2つ以上の課題をデュアルタスク(二重課題)といいます。

デュアルタスク(二重課題)の処理能力が低下すると足尖のつっかかり等のパフォーマンスが低下し転倒リスクが増大します。

デュアルタスク(二重課題)の処理能力は加齢による退行性変化で低下します。

理由としては退行性変化に伴いワーキングメモリの容量が低下するためです。

以下に理由を説明します。

人間は絶えず取得している情報は以下の3つの記憶で保持されます。

・感覚記憶

・短期記憶

・長期記憶

長期記憶に仕分けられなかった情報は感覚記憶と短期記憶に分類されますが、いずれにしても記憶保持時間は非常に短いです。

感覚記憶は固有感覚で取得した情報をなんとなく保持する記憶です。

そのため視覚・聴覚共に数秒以下しか保持できない特徴をもちます。

感覚記憶を意識して保持する記憶が短期記憶です。

例えば「この言葉を忘れないように!」と忠告された場合、忘れないように意識して記憶します。

この、情報を一時記憶する頭の中のメモ帳が前頭前野にあるワーキングメモリです。

ワーキングメモリの機能により私達は情報を短期記憶下で保持しつつ他の課題を遂行することが可能となります。

このようにデュアルタスクを処理する必須条件として遂行課題(情報)を脳内に記憶として一時的に保持することが挙げられます。

情報を一時記憶するワーキングメモリの容量は加齢に伴う脳細胞減少に付随し低下します。

その結果、デュアルタスク(二重課題)の処理能力は加齢による退行性変化で低下します

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デュアルタスク(二重課題)の評価指標

デュアルタスク(二重課題)の評価指標はStops Walking When Talking(SWWT)テストが簡易的かつ有用です。

SWWTテストは以下の方法で行います。

・対象者に快適歩行を行って頂く

・歩行時に検査者がエピソード記憶に基づいた質問を提起する

・対象者の歩行停止の有無を判断する。

歩行が停止するとデュアルタスク(二重課題)の処理能力低下と6ヶ月以内の転倒リスク増大が示唆されます。

デュアルタスク(二重課題)トレーニングのリハビリ効果

デュアルタスク(二重課題)の処理能力はトレーニングすることで向上が見込めます。

デュアルタスク(二重課題)トレーニングにより認知症の改善(ワーキングメモリの容量増大)や転倒リスク軽減などのリハビリ効果が得られます。

認知症を改善するデュアルタスクトレーニングメニューの一例

認知症を改善するデュアルタスクトレーニングは短期記憶(ワーキングメモリ)障害に対するリハビリとなります。

短期記憶(ワーキングメモリー)の維持・向上で用いられるデュアルタスクトレーニングメニューの1つが「イメージング」です。

イメージングとは頭の中の表像を形成することです。

イメージングのリハビリ方法は評価者が対象者に対し以下の内容を伝達します。

①覚える単語をイメージする。

②イメージした事象を絵に書く。

非常にシンプルですが、この方法で頭の中の表像を形成化します。

イメージングに慣れてきたら課題難易度を上げ、ワーキングメモリの情報処理能力の維持を図ります。

一例として、以下のような方法があります。

①シチューの材料を3つイメージする。

②イメージした3つの材料を絵に書く。

絵を書くのが難しい方に対しては貧乏ゆすり(ジグリング)を実施しつつイメージングを促す方法があります。

例えばジグリングしつつシチューの具材を3つイメージし口頭にて答えて頂くなどです。

ジグリングは簡易的に行え、かつ循環不全を改善しスタート・ペインを消失させる効果があります。

また一朝一石では困難ですが長期間かつ長時間のジグリングは関節軟骨を再生させる効果が示唆されています。

こういった側面からもジグリング実施下でのイメージングはデュアルタスクトレーニングメニューとして推奨できます。

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転倒リスクを軽減するデュアルタスクトレーニング歩行メニューの一例

デュアルタスクトレーニングで転倒リスクが軽減される対象者は運動能力や歩行能力が高い要支援者が中心となります。

先行研究の論文ではTUG11.1秒未満の方に対し効果があったことが示唆されています。

TUG11.1秒以上の運動能力・歩行能力低下者は、筋力低下などに対する身体機能の向上を第一優先としてリハビリを展開します。

実際の臨床場面ではTUG11.1秒未満の方が少数だと思います。

そのため個人的には生活期のリハビリよりも回復期や予防分野のリハビリで導入頻度が高いと思います。

デュアルタスクトレーニングメニューとしては以下の方法が一例として挙げられます。

①コーンにボールを乗せたまま歩行する。

②会話しつつ屋外歩行する。

リハビリで屋外歩行練習を導入する場合、可能な限り退院先の環境に即した設定下で行うことが望ましいです。

例えば回復期リハビリで自宅退院後に近所の散歩が予想される場合

斜面角度や交通量、横断歩道の横断時間等を退院先と同一環境としデュアルタスクトレーニングを行う方が退院後生活に反映されやすいメリットがあります。

まとめ

デュアルタスク(二重課題)の概要とトレーニング方法、リハビリ効果、メニューを中心に記載しました。

ワーキングメモリの容量増大と身体機能が高い方の転倒リスクを軽減するリハビリとしてデュアルタスク(二重課題)トレーニングは有用です。

認知症(短期記憶障害)進行や要支援から要介護への移行予防の一助となれば幸いです。

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