バランス能力低下、向上の判断基準である安定性限界とは?

はじめに

日常生活動作の介助量軽減や座位・立位動作の安定化を図り転倒を予防する目的で臨床上バランス練習を展開することは多々あります。

一方でバランス能力の低下や向上を明確に説明することが難しい方もいるのではないでしょうか?

今回はバランス能力低下と向上を決定する安定性限界と予測的安定性限界を中心に記載します。

具体的なバランストレーニングの内容と方法に関する記事はこちらです。お時間があったら閲覧ください。

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バランス能力とは?

バランス能力とは、身体重心の投影点を安定性限界範囲内・予測的安定性限界範囲内に保持する能力のことです。

保持能力が低下した場合、バランス能力低下と判断します。

厳密には諸説ありますが本記事ではこの定義に基づき記載していきます。

定義の内容を説明していきます。

支持基底面(Base Of Support)とは?

支持基底面(Base Of Support)は、「体を支える底(床)の面積」をさします。

歩行補助具(杖等)の使用で支持基底面は拡大します。

身体重心とは?

身体重心は、「体重(身体質量)の中心」をさします。

静的立位では仙骨やや前方に位置します。

身体重心投影点とは?

身体質量の中心から床面へ垂直に投影した線が床面を貫く点」を身体重心投影点といいます。

安定性限界とは?

安定性限界は「支持基底面の中心から身体重心投影点を離すことができる限界域」のことです。

つまり、安定性限界の中に身体重心投影点が位置すればバランスの保持が可能です。

安定性限界外に身体重心投影点が位置すれば、バランスを崩すということになります。

バランスに関する図

青:支持基底面 赤:安定性限界   緑:身体重心投影点

この状態だと、安定性限界の外に身体重心があり、右前方にバランスを崩すことになります。

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バランス能力を決定づける安定性限界と予測的安定性限界

リハビリ対象者が2名いたと仮定します。

仮に対象者2名の支持基底面の面積が同一であったとしても、安定性限界の面積は異なります。

安定性限界の面積構築には、関節可動域や協調性、筋力等様々な因子が含まれているからです。

そして静的座位・立位時におけるバランス能力の高低は安定性限界の面積に依存します。

安定性限界と静的バランス能力の関係性

安定性限界の面積が縮小されれば、静的バランス能力は低下し転倒リスクは増大します。

必要に応じて支持基底面と安定性限界を拡大する福祉用具(杖や歩行器等)を導入する必要があります。

また静的座位・立位バランス能力は生活場面では静的座位・立位で前後左右の物を把持する時等に必要な能力です。

リハビリでバランス練習をする場合、安定性限界をどれだけ拡大(バランス能力を向上)すれば、生活場面での転倒予防に直結するかを考え行う必要があります。

予測的安定性限界と動的バランス能力の関係性

身体重心が安定性限界を超えた際、前後左右に足を1歩踏み出して新たな安定性限界を形成し転倒を予防する能力(動的バランス能力)が必要となります。

この1歩踏み出す反応をステッピング反応といい、1歩踏み出すことができる範囲を予測的安定性限界といいます。

青:支持基底面 赤:安定性限界

緑:身体重心 橙:予測的安定性限界

つまり身体重心投影点が安定性限界を超えても、予測的安定性限界範囲内であれば、ステッピング反応が出現し転倒の予防が可能です。

予測的安定性限界が拡大すればするほど前後左右へ1歩踏み出す距離が延長し、動的バランス能力が秀でていると判定できます。

まとめ

リハビリで多用される「バランス能力」という用語の定義と概要、内容(安定性限界と予測的安定性限界)に関して記載しました。

安定性限界と予測的安定性限界の拡大は転倒予防に直結します。

バランス能力の内容を知ると共に、何が要因でバランス能力低下が生じているのか?の視点をもちアプローチすることが大切です。

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